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潮風のまち、銚子をめぐる写真旅|FUJIFILM X & SIGMA fp

2022年も夏が終わりました。 毎年夏が終わると変なノスタルジーが湧いてきます。儚さというか寂しさというか、とにかく大きな感情(クソデカ感情)です。一年の3分の2が終わったということで、日々を写真で振り返るにはちょうどいい時季といえるでしょう。 真夏の潮風が吹く銚子を、自転車でめぐる。 この写真旅は、先月参加した「PVSF」という動画投稿イベントの撮影を兼ねていました。そんなわけで今回は、①「PVSFで動画を合作しませんか?」と私に持ちかけてくれたRyutoさん (@ryuto_tkg) 、②映像学区のファンということでいらっしゃったtaiseiさん、③私(うp主)の3名でめぐります。 旅の始まりはJR成田線の乗車から。千葉県でもこのあたりまでくると列車の本数が少なくなり、ローカル線の様相をみせます。4両編成の車内にはボックスシートが用意されており、ちょうど今回のようなグループでの旅には便利です。 銚子の観光エリアはちょっと広いので、「レンタサイクル銚子」というサービスで自転車を予約しておきました。1日¥1500くらいで利用できるのでかなりコスパの良い移動手段です。「銚子電鉄」という鉄道路線もありますが、列車本数が少ないので自転車のほうが便利だと思います。 Twitterで調べると、この自転車を使う観光客は結構多いようで、休日は予約がいっぱいになることもあるそうです。ご利用の際はお早めのご予約をおすすめします。また雨天・強風時は貸出が中止されることがあります。 SIGMA fp 関東平野を築いた利根川を渡ります。辺り360°見回すと、様々な場所に風車が立ち並んでいました。海からの風を受けとめる街であるため、風力発電が盛んなようです。同じような光景は秋田県沿岸でも目にすることができます。青い大空に、海のさざなみと白い風車。いかにも夏に馴染む光景です。 SIGMA fp 広い河口を、ボートがスピードを上げて通過していきます。動画版の1:40では、行き交う船舶を橋の上から撮影しています。これはスタビライザー片手にダッシュして撮影したものです。穏やかに見える映像作品にも派手なカメラワークが隠れているのです。 「SIGMA fp」という珍しいカメラ Ryutoさんの現在のメインカメラが「SIGMA fp」というカメラです。 このSIGMA、カメラに詳しくない方には聞き慣れないメーカーかもしれません。SIGMAはサードパーティー(純正外)のレンズメーカーとして有名で、映像学区ではEFマウント用のSIGMA 70-200mm F2.8 DG OS HSMが何度か登場しています。 そのSIGMAが作ったカメラが「fp」です。SIGMAらしいモノクロデザインが秀逸なのは言うまでもないですが、機能も面白いです。SSDを挿すだけでRAW動画が収録できたり、SNS向きでキャラの濃いカラーモードが多数搭載されています。 ※記事中では、SIGMA fpで撮影された写真のみ「fp」のテロップが入っています。 犬吠埼のダイナミックな地形 午後の犬吠埼へとやってきました。弧をえがく海岸線の先に立っている灯台が「犬吠埼灯台」です。日本の灯台の歴史を語るには欠かせないその1基の灯台は、午後の陽の光を浴びてやさしく輝いていました。 懐かしの鉄道風景、銚子電鉄。 旅の最後に、銚子を走るノスタルジックな鉄道を訪れました。…

ゆっくり収益化剥奪の何が怖いのかという問題

収益化が剥奪されるだけで、なぜか創作をやめる人々 ゆっくりボイスを使用したYouTubeチャンネルが増えてきました。 ジャンルを飛び越えて「ゆっくり」が普及していくのはとても嬉しいことです。大学生である私は「迷列車」「ゆっくり実況」「ゆっくり解説」を観ながら10代を過ごしたこともあって、親しみ深さがあります。 気が付いた頃には、私はゆっくりの視聴者であるだけでなく、投稿者にもなりました。 人間のYouTuberになる余裕はないけれど、どうしても皆さんに発信したい「ネット上の決定的な情報不足」を発見したからです。自分にしか作れないであろう動画を、いかにして良いカタチで届けるか、常に悩んでいます。 さて。1人のうp主として、私にはちょっとよくわからない場面があります。それは、何らかの理由で収益化を外れてしまった「ゆっくり」系のチャンネルが、突然活動休止を宣言することです。 ゆっくりボイスのチャンネルは「繰り返しの多いコンテンツ」として、収益化を剥奪されやすいと聞きます。合成音声ゆえに、YouTubeのアルゴリズムに誤解される側面もあるのでしょうが、今回の論点はそこではありません。 収益化が止まることくらいで、動画投稿をなぜスッパリ休止してしまうのかが分からないのです。 たしかに投稿のモチベーションが下がるのは分かります。投稿本数が減るくらいなら理解できます。けれども、創作意欲がいきなりゼロになる(=休止にまで陥る)ものでしょうか。広告収入という副産物が減るくらいで、いったいどうして「ゆっくり」の投稿者がそこまでうろたえるのか、私はあまり理解ができません。 どうか「休止」なんて言わず、時間が掛かっても構わないので次回作を出していただきたいのです。 動画内容が誰にも真似できないくらい濃いのならば、収益がどうであれ(YouTubeでなくとも)ネット記事や同人誌を書いてでも発信したくなるものはないでしょうか。伸びるか伸びないかは別として、私はそういった「創作意欲が爆発してゆっくり解説まで作ってしまう人」をよく見かけます。 この「爆発する」熱意こそゆっくり解説らしさであり、逆に熱意なき動画にはまだまだ濃さが足りていないのです。 他の誰も投稿できないこと・知らないことを心に秘めておくのはもったいない。その点「ゆっくり」とは、普段なかなか表に出ない知識や体験を大勢に共有できる、きわめて優れたフレームワークといえます。 逆に、創作意欲があふれんばかりの興奮する内容を思い描けないまま、収益化通っちゃったってことなのでしょうか。 収益以上にエキサイティングなものは、本当に「ゆっくり解説」制作にはもうないのでしょうか? Wikipediaにも知恵袋にも、2chにもないような斬新なコンテンツを、作ってみようとは思いませんか? まとめサイトを超えるくらいの覚悟はありますか? 本気を出せば、人目につかない新聞記事、専門誌、絶版書籍、webアーカイブに至るまで、誰よりも深く探索できる可能性が残っていませんか? うp主さんなりの知見・経験・シナリオスキル・特殊スキルはどこへ行ったのでしょうか? 収益化されようがされまいが関係なく、私は1人のうp主として投稿を続けたい。もちろんこれは昔から持っていた感情ですが、近頃の光景を見るとなおさら痛感します。

ゆっくりボイスを打ち込むための編集ソフト

「ゆっくりボイスを打ち込んでいるツールを教えてください」 と、よく尋ねられるのでお答えしたいと思います。映像学区の制作では「ゆっくりムービーメーカー(以下YMM)」を使用しています。逆に他の人工音声ツールはあまり使ったことがありません。 YMMは、AviUtlとの親和性が高いため個人的には馴染みやすかったです。 普段YMMを使う時には、画面下の音声字幕部分だけを書き出しています。こうすることで、4K実写ドキュメンタリーのように専門的なソフトが必要な場合でも柔軟な運用ができるようになっています。 字幕部分(FHDで画面下から120px部分)をYMMで書き出している。 完成時の画面(YMMの処理軽減のため別ソフトで合成) SofTalkのゆっくりボイス対応終了はそんなに問題ではない 2022年にSofTalkでゆっくりボイスが打ち込めなくなって以降、冒頭のような質問は増えてきたように思います。 調べてみるとたしかに、SofTalkは契約の関係でAquesTalk(ゆっくりボイス)への対応を終了したそうです。しかしAquesTalkが他のソフトからも消滅したわけではありませんので、少なくとも「ゆっくり実況が作れなくなった」と騒ぐのは大いに誤りがあります。じっさいYMM提供者(饅頭遣いさん)からも安堵を促すツイートがされていることから、この件について私は特段の不便を感じていません。 正直私も、質問をいただくまでは「AquesTalk」「SofTalk」「YMM」の相互関係をあまりよく理解していませんでした。ゆっくり動画の世界はまだまだ知らないことだらけです。もっと勉強します。 皆さんにはぜひ幅広い選択肢を知っていただき、正しい情報をもとに動画制作に励んでいただきたく思います。 次回の記事もお楽しみに。

映像学区のような動くテロップ(Lower Third)の作り方

ローワーサードとは 紹介文を動画に載せたい時、画面隅に図形付きのアニメーションテロップを使うことがあります。このようなアニメーションは「ローワーサード(Lower Third)」と呼ばれており、TV番組やYouTubeなどさまざまな媒体で使用が見られます。 『ゆっくり映像学区』の動画でも、最初期から変わらず登場しているエフェクトです。視聴者に「これだけは覚えて帰ってほしいな」という内容を伝えています。 制作に必要なもの 普段私はAviUtlを使ってスタイリッシュなローワーサードを制作しています。拡張編集の入ったAviUtl以外に、特殊なプラグインは必要ではありません。ただしイージング系のスクリプトがあるとクオリティが爆上がりします。余裕があれば導入をおすすめしています。以下参考リンクです。 ・【Aviutl】7年目にして今更だけど、イージングバグってたから更新した|undoFishさん ・AviUtl、トラックバー対応イージングスクリプト 2020版|FLAPPERさん 制作手順は、YouTube動画(3:00~)で説明しています。

映像×心ときめく宇宙|アルテミス計画

巨大ロケット:SLS アメリカ航空宇宙局(NASA)の『アルテミス計画』は、月や火星へと人類を送り届ける国際プロジェクトです。アポロ計画から半世紀以上経った今、多くの人がワクワクしていることでしょう。スペースシャトルが引退して以来ひっそりしていた壮大さが、また帰ってきてくれたような感覚です。 出典:NASA 月まで向かうための大型ロケット「アルテミス1号」の打ち上げが、2022年中に予定されています。1号は無人で月を周回する試験飛行です。続く2号からはいよいよ宇宙飛行士が乗り込みます。 アルテミス1号の打ち上げ予定日は何度か延期されており、執筆当時で「日本時間9月4日 未明」の見込みだということです。 ※朝日新聞より、2022年8月31日。(https://www.asahi.com/articles/ASQ8033KVQ80UHBI00W.html) 映像は、宇宙へのロマンを支えてきた。 国際プロジェクトという言葉が示すとおり、現代では世界中の国々が叡智を結集して宇宙開発に挑んでいます。しかし、史上はじめて月に降り立った「アポロ」の時代では、取り巻く情勢が今と違いました。当時はまだ冷戦時代。西側と東側が宇宙を巡って、激しくしのぎを削っていたからです。 当時の宇宙開発は、国威発揚やプロパガンダの意味合いも強かったのではないでしょうか。そういった発信には、「映像」が効果抜群でしょう。実際アポロ13号の月面着陸は、全世界にテレビで生中継されたことで有名です。 もっとも今となっては、国家間の宇宙開発競争は昔話になりました。しかし宇宙に関する映像は発信され続けています。時代を超えて、宇宙の映像は私たちのロマンを描きだす、純粋なエンターテインメントに近づいたと思います。 今日は、私がこれまで感銘を受けた宇宙映像をいくつかご紹介します。 NHK『コズミックフロント』 BSプレミアムで放送されている『コズミックフロント』シリーズは必見だと思います。CGを織り交ぜながら、最新の天文科学を分かりやすく教えてくれます。 コズミックフロントの素晴らしさは、美麗な映像だけではありません。壮大な音楽によって毎週毎週、宇宙へのロマンを思いだすことができるのです。とくに『コズミックフロントNEXT』のテーマ曲「Encounter in Space」は至高といえます。映像とおなじくらい、音は重要だと教えてくれるドキュメンタリーです。 数あるコズミックフロントの放送回の中でも、カッシーニ回・ベテルギウス回は傑作といえるでしょう。どちらも消えゆく"天体"を追った、宇宙の儚さを象徴するようなテーマです。天文に疎いとしても、ストーリーに心を揺さぶられます。 ※カッシーニ:人工衛星。長期にわたる惑星探査を終えたのち木星へ突入。グランドフィナーレを迎えた。※ベテルギウス:オリオン座の恒星。星の一生の終わり =「超新星爆発」の時期が近づいている可能性がある。 Space X Space X は世界を代表する商業宇宙開発プロジェクトで、「Starship」「Dragon」といった移動手段を次々と生み出しています。その中でもロケットの着陸・再発射を目指す「Falcon」は斬新です。 ブレなくロケットを追従する実写映像に、近未来的なインタフェースデザイン。ゲーム画面のような雰囲気で配信される映像は、現実を超越しているかのようです。どれもロケットの打ち上げを盛り上げます。 Artemis I いま最も注目の宇宙プロジェクト「アルテミス計画」でも、映像に抜かりがありません。NASAのYouTubeチャンネルを覗いてみましょう。Epicな音楽とともに、発射準備の整ったSLSロケットが映っています。タイトルは「We Are Ready」。シンプルながら、目が覚めるほどカッコいい英語です。…

AdobeのCMみたいな予告動画を作ってみた感想

『PVSF』という動画投稿イベントが2022年8月に開催されました。今回は、以前コラボしたこともあるRyutoさん( @ryuto_tkg )よりお誘いをいただき、撮影と予告編制作で関わりました。 PVSFの魅力はとにかく自由であることです。開催中は、実写からCGまでジャンルを問わず動画を募集していました。また、どちらかといえば競技というより「ともに高め合う」という意味合いが強いです。私はこの雰囲気が大好きです。 本編映像はこちらから → https://www.youtube.com/watch?v=vA23IwGn4Es 企画とカラー周りについて 予告編ではカメラワークと実写のメッセージを重視することにしました。撮影では3人のメンバーでカメラを持っていったため動画素材は豊富にあります。撮影場面をポップに表現することで、「写真旅」の楽しさをお伝えしたいと思いました。したがってテキストアニメーションは特に入れていません。 ※実は「DaVinci Resolveでアニメーション組むのが面倒だった」というのも理由の1つ。Fusionキライ...... 本編のカラーグレーディングに備えて、素材は4:2:0 10bitのF-logで収録しました。普段のHLG素材と比べると、暗部の処理に手こずりました。夏の楽しい雰囲気を再現したかったので、グレーディングとトランジションは激しめの設定です。 カモメが鳴いている海辺のシーンだけはHLG収録しています。(※カモメの音はフリー素材) HLGのほうがLogよりも、彩度の高いグレーディングのときにラクです。ただし元気な動画に混ぜると、若干B級映画臭くもなりました。私はもう少し真面目にグレーディングを学ぶ必要がありそうです。 エフェクトについて トランジションは、DaVinci Resolveの基本的なモノだけを使いました。撮りためてから編集する作品(Vlogとかドキュメンタリーとか)は大抵の場合、フェードかそれに準ずるトランジションを入れておけば解決します。あまり高度な切り替えは、展開を妨げてしまうからです。 エフェクトは少なめですが、グレーディング時にかけています。下がその一例です。「ブラー(ズーム)」を外周にかけることで、視線を中央のレンズに集中させています。建物のようなノイズとなる要素が多いので、ぼかすことにしました。 この予告編、どうもAdobeのCMに雰囲気が似ていると思います。 この「Adobe感」はおそらく、僕の技術というより音楽が生んでいるものです。Artlistで「POP」や「Vlog」などと調べると、カンタンに陽キャっぽい曲に出会えるのでオススメです。動画の中で音楽が担う要素って大きいですよね。 次回の記事もお楽しみに!

厳冬と色彩の宗谷を目指して(2)|Velviaで撮る最北端のマジックアワー

厳冬のオホーツク海沿いを駆ける 北海道縦断の旅は2日目。旭川市を朝に出発し、私たちはずっと国道を北へ進んできました。日本本土最北端の地「宗谷岬」まではもうすぐです。夕暮れの差し迫る時間となってきました。 できれば日没前に絶景を一目見たいところです。人もほとんど歩いていない冬の雪道を進んでいると、レンタカーの側面もこんな状態に。いつ滑ってもおかしくない道中、ドライバーを担当した仲間のテクニックに助けられています。 国道238号線の猿払地域を通過しています。 このあたりでは、漁港の街を通り過ぎては、小高い峠を登る道のりを繰り返します。すこし内陸部へ車を走らせると、風車の立ち並ぶ丘陵を経由して稚内市へ短絡する道路があります。夏に北海道を訪れると、心が晴れるような素晴らしい景色に出会えそうですね。 宗谷岬に到着しました 日本で最北のガソリンスタンド。この出光の石油店を通り過ぎると、宗谷岬の公園は目の前です。 夕暮れぎりぎりになんとか間に合いました。この時間帯は「マジックアワー」といって、映像表現がいちばん映えるコンディションです。観光地のハズですが季節のせいか、歩いている人は私たちだけ。雄大な景色を独り占めした気分です。 モニュメントが夕陽に輝きます。とんでもなく風の強い空間です。 こういう景観では多少レタッチを盛っても許されそう。長い写真旅における最大の魅力は、ちゃんとした場所にいけばちゃんとした写真が撮れるってことだと思います。都市のスナップとは明らかに撮り方が違いますし、心が満たされ具合も遥かに違います。 撮影には「XF 10-24mmF4」と「XF 56mmF1.2」を使用しました。超広角が構図面で威力を発揮します。レタッチできるとはいえ、センサーがAPS-Cなので構図勝負になってきますね。 江戸時代のこと、樺太が島であることを認識した人物が間宮林蔵です。林蔵に由来して、宗谷岬とロシアのあいだにある海峡は「間宮海峡」と名付けられています。日本の地理に貢献した彼に敬意を払いつつ1枚。 気がつけば空が真っ暗になり、南東の空に月がのぼってきました。藍色の空が私たちを次の撮影地へ誘います。次回は市街地の広がる稚内市内を経由して、冬の鉄道名物「ラッセル列車」を特集する予定です。

※注釈を入れると動画の質感がなんとなく上がる気がする(珍味)

ここ何本かのゆっくり写真旅で、ひそかに楽しんでいるのが「※(注釈)」の追加です。 テレビやYouTubeで放送されるCMの画面下には、よく注釈が並んでいます。この注釈のことを日本の法律では「打消し表示」と呼ぶそうです。誇大広告を防ぐためのルールに対して沿うように文章化されています。注意書きをCM内で読み上げる暇はないので、こうやって小さな文字で書いておくわけです。 クレーム回避・法律へのつじつま合わせなどと、ネガティブな印象を持たれる方も多いとは思いますが、「映像のデザイン技法」として見るとなかなか面白い文化なのではないかなと思います。もはや小さい「※」を入れる習慣は、一周回って「動画のデザインレイアウト」の1つとして馴染んでしまったのではないでしょうか。 映像学区ではとくに後ろめたい注釈を入れているわけではないですが、飾りとして動画に取り入れています。デザインの整う感じがするからです。日頃からテレビのフォーマットに目が慣れているせいかもしれません。 もっとも、私たちが小さいテキストを映像で目にする機会自体、今後徐々に増えると思っています。モニターの解像度が飛躍的に向上して、4K・8K・12Kの上映が可能になったからです。実際、4K放送の登場した現在では、テキストサイズの小さい番組も徐々に増えているような感覚があります。 たとえば、NHKで放送されたドラマ『17才の帝国』のEDクレジットは、いかにも「4K8Kで作ってからダウンコンバートしました」というメッセージを感じるテキストサイズでした。限界まで小さい文字ではあるんだけれども、決して読めないわけではない。小さい文字でも意外と読めるんですよね。 ※映像学区では、制作した4K映像をFHDモニターで覗いてサイズ感を決めています(これで良いのかは分からない)

撮って出しにこだわった写真旅で気づいたこと。

「SOOC」という写真文化を考える。 SOOC ( - Straight Out Of Camera )という海外写真界隈の文化をご存知でしょうか。これは日本語でいう「撮って出し」のことで、カメラから吐き出されるJPEG画像をそのままSNSに投稿することを意味します。 このJPEG画像と対局にあるのが「RAW画像」です。これはカメラのセンサーが受け取った莫大な情報量を記録できる、文字通り"生"のファイルです。RAWで記録しておけば、レタッチ(加工)しても色が崩れにくいという利点があります。その反面、JPEGよりもファイルサイズが大きいです。 RAWを撮ったほうがイイに決まっている、と思われるかもしれませんが、いつもそう上手くはいかないものです。たとえば速報用の報道写真ではレタッチをしている暇もないと聞きます。その急ぎっぷりはすさまじく、各メーカーのフラッグシップカメラには高速送信用のLANポートが付いているほど。急ぐ分野ではSOOCをきたえるしかありません。 SOOCには、1台のカメラが見たありのままの色を伝える表現力があります(もちろん必ずしも人間の色覚と一致するとは限りませんが……)。これは報道(Journalism)以外でも、鉄道編成写真や写実的なストリートスナップに役立ちます。 カメラから手を加えずに投稿するSOOC。その難しさはとにかく「撮影時に完成させなければならない」ことです。構図や露出に加えて、色・陰影・光線・気象などを考え続けなければなりません。なかなかハードですね。 私はこれまでの写真旅で、RAWからのレタッチを欠かすことはほとんどありませんでした。「多少ミスをしてもカバーできる」と思っていたほうが、ラクに旅できるからです。とはいえ、そんな”甘え”のような状態ばかりでいいのか、という若干の後ろめたさはあります。 たまにはハードな撮影をしよう。 レンズレビューというきっかけ。 2022年7月に投稿したゆっくり映像学区『17-70mm F2.8』の回は、株式会社タムロンさんより発売前のレンズをお借りしたレビュー動画でした。素敵な機会を本当にありがとうございます。 発売前のレンズですから「Xマウントボディとの組み合わせだと、どんな色合いで撮影できるのかな」とチェックしたい視聴者さんもいらっしゃることでしょう。したがってこの動画では、あまりごまかしを加えてはならないなと思いました。実は過去の映像学区ではしょっちゅう編集でごまかしを加えていたのですが、みなさんはお気づきでしたでしょうか? レタッチへの一種の甘えを意識したうp主は、ここで1つの挑戦をすることにしました。あえて全くレタッチをしない、SOOCストリートフォト動画の制作に取り掛かったのです。 …と、ここまで勇ましい言葉を並べたものの、実はそれほど難しい挑戦ではありませんでした。なぜなら、富士フイルムXマウントのカメラとTAMRON 17-70mm F2.8が、とてもSOOCに向いていたからです。 まず富士フイルムのカメラには「フィルムシミュレーション」が付いており、JPEGへのサポートが強力です。これはJPEGの色味をコントロールする機能であり、基本的に「PROVIA」「Velvia」「ASTIA」を使用すればきわめて自然な色のJPEGを記録できます。 ※光の具合でどうしてもうまくいかないときは「ACROS(モノクロ)」を使いました。 そして、TAMRON17-70mm も素晴らしいレンズです。派手なボケ表現ができない分、ストリートスナップの構図を組むことに集中することができます。「コンパクト・明るさ・手ぶれ補正」のバランスがとれているレンズなので、どちらかといえば街中よりも薄暗い森の中で使いたいと思いました。