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撮って出しにこだわった写真旅で気づいたこと。

TAMRON 17-70mm F2.8(Xマウント)撮影小話

「SOOC」という写真文化を考える。

SOOC ( – Straight Out Of Camera )という海外写真界隈の文化をご存知でしょうか。これは日本語でいう「撮って出し」のことで、カメラから吐き出されるJPEG画像をそのままSNSに投稿することを意味します。

このJPEG画像と対局にあるのが「RAW画像」です。これはカメラのセンサーが受け取った莫大な情報量を記録できる、文字通り”生”のファイルです。RAWで記録しておけば、レタッチ(加工)しても色が崩れにくいという利点があります。その反面、JPEGよりもファイルサイズが大きいです。

RAWを撮ったほうがイイに決まっている、と思われるかもしれませんが、いつもそう上手くはいかないものです。たとえば速報用の報道写真ではレタッチをしている暇もないと聞きます。その急ぎっぷりはすさまじく、各メーカーのフラッグシップカメラには高速送信用のLANポートが付いているほど。急ぐ分野ではSOOCをきたえるしかありません。

SOOCには、1台のカメラが見たありのままの色を伝える表現力があります(もちろん必ずしも人間の色覚と一致するとは限りませんが……)。これは報道(Journalism)以外でも、鉄道編成写真や写実的なストリートスナップに役立ちます。

カメラから手を加えずに投稿するSOOC。その難しさはとにかく「撮影時に完成させなければならない」ことです。構図や露出に加えて、色・陰影・光線・気象などを考え続けなければなりません。なかなかハードですね。

私はこれまでの写真旅で、RAWからのレタッチを欠かすことはほとんどありませんでした。「多少ミスをしてもカバーできる」と思っていたほうが、ラクに旅できるからです。とはいえ、そんな”甘え”のような状態ばかりでいいのか、という若干の後ろめたさはあります。

たまにはハードな撮影をしよう。

レンズレビューというきっかけ。

2022年7月に投稿したゆっくり映像学区『17-70mm F2.8』の回は、株式会社タムロンさんより発売前のレンズをお借りしたレビュー動画でした。素敵な機会を本当にありがとうございます。

発売前のレンズですから「Xマウントボディとの組み合わせだと、どんな色合いで撮影できるのかな」とチェックしたい視聴者さんもいらっしゃることでしょう。したがってこの動画では、あまりごまかしを加えてはならないなと思いました。実は過去の映像学区ではしょっちゅう編集でごまかしを加えていたのですが、みなさんはお気づきでしたでしょうか?

レタッチへの一種の甘えを意識したうp主は、ここで1つの挑戦をすることにしました。あえて全くレタッチをしない、SOOCストリートフォト動画の制作に取り掛かったのです。

…と、ここまで勇ましい言葉を並べたものの、実はそれほど難しい挑戦ではありませんでした。なぜなら、富士フイルムXマウントのカメラとTAMRON 17-70mm F2.8が、とてもSOOCに向いていたからです。

まず富士フイルムのカメラには「フィルムシミュレーション」が付いており、JPEGへのサポートが強力です。これはJPEGの色味をコントロールする機能であり、基本的に「PROVIA」「Velvia」「ASTIA」を使用すればきわめて自然な色のJPEGを記録できます。

※光の具合でどうしてもうまくいかないときは「ACROS(モノクロ)」を使いました。

そして、TAMRON17-70mm も素晴らしいレンズです。派手なボケ表現ができない分、ストリートスナップの構図を組むことに集中することができます。「コンパクト・明るさ・手ぶれ補正」のバランスがとれているレンズなので、どちらかといえば街中よりも薄暗い森の中で使いたいと思いました。