2021年秋に発売された「TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」は、FUJIFILM Xマウントの歴史に大きな一歩を刻む1本でした。このレンズはXマウント向けに作られた初めての「広角から超望遠まで1本でつなぐ高倍率ズーム」だからです。
今回は、株式会社タムロンさんよりご協力をいただき、約1か月間このレンズをお借りしたうえでレビューしました。
YouTube『ゆっくり映像学区』シリーズでは、実際に18-300mm F3.5-6.3を持って飛行場を散策し、一人称視点の撮影風景をお届けしています。当ブログ記事と合わせてご覧ください。
これまで映像学区ではほとんど触れてこなかった換算450mm、そこにはどんな写真が待っているのでしょうか。
TAMRON 18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD (Model B061)
焦点距離 | 18-300mm | 長さ | 125.8mm |
明るさ | F3.5-6.3 | 質量 | 620g |
画角 | 77°24′- 5°30′ | 絞り羽根 | 7枚 (円形絞り) |
最大径 | Φ75.5mm | 最小絞り | F22-40 |
最短撮影距離 | 0.15m (WIDE) / 0.99m (TELE) | 標準付属品 | 花型フード、レンズキャップ |
最短撮影倍率 | 1:2 (WIDE) / 1:4 (TELE) | 対応マウント | 富士フイルムXマウント |
フィルター径 | Φ67mm | 希望小売価格 | 96,800円 (税込) |
外観や質感
TAMRONのレンズらしさがある外装です。プラスチック製ながら触り心地のいい本体で、おうちのインテリアにもよく馴染むデザインになっています。

本格的なレンズレビュー動画を作るのは初めてでしたが、レンズ本体を撮影するのもなんだか楽しかったです。
現代的な外観ながら、レトロなFUJIFILM機の雰囲気にも意外とマッチします。

使い心地
18mmから300mmをカバーしながら、レンズ本体の重さはわずか600g台に収まっています。
グリップの薄い FUJIFILM X-T3 と運用しましたが、カメラを片手で握って長時間歩いても、ほとんど負担を感じません。
一緒くたに比較するのもどうかとは思いますが、もしこれが XF100-400mm のようなデカい望遠レンズであれば、翌日の筋肉痛を免れなかったことでしょう。やはり18-300mmは超望遠としては信じられない快適性です。

ズームリングは適度なトルクで回ります。
望遠側でズーム中に若干引っかかりがありますが、気になるほどではありません。

欲張りはよくないですが「やっぱり、絞りリングがほしいなぁ……」と何度も思いました。
→というのも、X-TシリーズのカメラでISO・F値を調節するとき、前ダイヤルを押して交互に切り替える羽目になるからです。これがまぁ誤操作しやすいんですよ。(どっちかというとレンズの機能よりも、FUJIFILM機自体がネックである気がします)

写真撮影|PHOTO
※映像学区は画質評価のプロではないので、詳細な画質については別のメディアも参考にしてください。
画質は、高倍率ズームレンズとは思えないほど美しいです。
たしかに単焦点レンズと比べたら勝敗は明らかですが、私たちがWEB用途で写真を撮ると考えれば、このレンズで撮った写真は「美しい」と評価できます。

正直私は、過去の先入観にとらわれて高倍率ズームレンズを侮っていました。
また、18-300mmは信じられないほど寄れるレンズです。レビュー動画ではステーキの写真で再現しましたが、「こんなに寄っていいの?」と思わせてくれます。

さらにAF性能にも注目しましょう。
広角側では、XF10-24mm などの純正レンズと同様、実に快適なAF速度・正確さが伴っています。レビュー動画内では何度かノールックでシャッターを切っていますが、ちゃんとフォーカスがあっていて驚きました。
望遠側でもおおむねフォーカスは速いです。ただ300mm付近でズーム操作をした時に、何度かAFがもたつきました。
超望遠域では手ぶれ補正の弱さもあるので、シャッタスピードは1/1000sくらい確保しておいたほうが安心です。私のように手元がふらふらしている人だと1/640でもミスショットを連発します。
以下はブレてしまった作例です。このレンズで動きモノを撮るには、慣れが必要なのかもしれません。いずれも1/640はキツかったようで。


動画撮影|MOVIE
画質は十分で、4K動画でも綺麗に写ります。
動画AFには少しクセがありました。このレンズには「動画撮影中に18mmから300mm近くまで一気にズームすると、AFが乱れる」からです。(タムロンの担当の方より教えていただきました。)
しかしこの弱点は、正直あまり気にならないかなと思います。当レンズの動画撮影で、18mmから300mm近くまで一気にズームすることはほぼないからです。固定の構図であれば、ほぼオールラウンドに対応できます。
激しい動きを追いかける運動会・飛行機の動画撮影は例外ですが、これらはそもそも一眼より、動画に特化したカメラのほうが扱いやすいと思います。
つづいて手ぶれ補正(VC)について。
公式サイトを見て知ったのですが、18-300mmの広角側70mmまでは、動画に配慮した手ぶれ補正が効きます。
手ぶれ補正も強すぎると動画がガクつくし、弱すぎてもゆらゆらするので、ほどよい補正効果はありがたいと思います。記録動画の撮影には十分でした。
YouTubeに上げたレビュー動画では、編集ソフト「DaVinci Resolve」のスタビライザー機能を使ってクオリティを高めています。とはいえResolveのスタビライザーは、安定した素材を前提として使うエフェクトですから、やはり18-300mmによる補正の素晴らしさがうかがえますね。
作例ギャラリー
すべてLightroomでレタッチをしています。





















