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TAMRON 11-20mm F2.8 と歩く、東京・御岳山

「TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)」は、Xマウント版が2023年に発売されたばかりの真新しい超広角レンズです。今回TAMRONさんのご協力により、このレンズを発売前にお借りしてレビュー動画を制作しました。 舞台は東京・御岳山。JR青梅線に乗っていけば、あっという間に最寄りの御嶽駅に到着です。都心からほど近いこの山はいわば「第二の高尾山」みたいな存在で、手軽に登山を楽しむことができます。ケーブルカーに乗ってショートカットも可能です。ただしそれでは撮れ高がなくなってしまうので、今回は自分の足で登りました。 1本目のレンズに広角を選んだっていい この動画の趣旨は「レンズレビューを超えて、広角の魅力を知ってもらう」という点にあります。 これは私の偏見ですが、カメラ初心者で1本目のレンズに広角を選ぶ人って、そうそういないと思うんですよ。普通は便利ズームや標準単焦点をチョイスします。その理由はコスト面かもしれませんし、あるいは望遠を捨てるということへの恐怖かもしれません。 ところが、上下の狭い16:9で動画を撮る現代、自分が見たままの風景を伝えるには、意外にも10mm台の超広角レンズがないと苦労します。映画のように構図をがっちり決められればいいのですが、とくに写真旅の場合はそうもいきません。 想定外の被写体と出会うのがある種の「旅の醍醐味」です。しかしいつもレンズ交換できるとは限りません。そんな時、望遠不足よりも広角不足となったときのほうが事態は深刻です。映像の構図をデザインする上で、余白がカツカツだったり、被写体が切れたりするのはあまり美しくありません。 これまでそうした場面でXF10-24mm F4に数多く救われてきましたし、今回もTAMRON 11-20mm F2.8に本当に救われました。とにかくレンズ1本で満足に撮れてしまうのが、広角の最大の魅力です。 目の前を伝える画角 昔からカメラは多種多様な記録に使われてきました。その中には「報道(ルポルタージュ)」という大事な用途があります。現在でも一部のメーカーに「Reporter」とか「News Shooter」のような名前がつく撮影機材が残っています。たいていそういう名前は「どこにでも持ち込めて、何も撮り逃さない」みたいな意味で使われているようです。 広角ズームというレンジは、さっとカメラを構えて目の前の光景を伝えられるという意味で、まさにこの「News Shooter」的な画角といえるようにも思います。狭い登山道で11mmを使えば、良い光景をほぼ漏らすことなく映像素材にすることができる。そして20mmまでズームすれば、手元のかわいらしい被写体に寄っていくこともできる。 超広角というとなんだかトリッキーに感じるかもしれませんが、写真旅で出会った被写体に、一番向き合える画角です。 ギャラリー 写真はすべてFUJIFILM X-T3で撮影し、撮って出し(ノーレタッチ)で掲載しています。 …

これまでの映像学区を反省してみる

「反省」という言葉はなんだかネガティブに聞こえますが、まぁ「何が良かったかor悪かったか、単に振り返ってみようぜ」というだけのことです。PDCAのCをしようぜというだけのことです。私は大学の哲学の授業で「これまでの自分を反省して、死について13時間議論しようね」と言われたこともありますが、それよりかはカンタンなことかなぁと思います。 過去を振り返ってみようと思ったきっかけは、YouTube Japanによる公式プレイリストで、初期の映像学区が紹介されたことです。特にメールでの通知もなく突然紹介されたので、びっくりしましたし素直に嬉しかったです。 でも、いざ当時の動画を視聴し直してみると、やっぱりどうしても今より分かりにくい原稿だなぁと感じるし、見た目もあまり洗練されていないなぁという印象を持ちました。 やはり動画投稿者たるもの、たまには過去動画を視聴し反省する機会が必要です。 テーマ選び(原稿執筆) 映像学区におけるテーマ選びのやり方は結構独特です。ビジネスで伸びるジャンルを選んでもいいんですが、それだけではゆっくり映像学区の存在価値がありません。そこで、よくある一般論を穿った視点でつついてみたり、既存のチュートリアルに文句をつけながら作ってきました。「あなた今、カメラ制御って必要ですか?」とか「基本効果をやれよ」とか。 このようなアプローチで動画の原稿を書くと、それはそれはオリジナリティあふれる内容に仕上がります。 くだらない一般論や常識のフィルターを取り払えるので、意外にも物事の本質に迫れるのがメリットです。これからも楽しく原稿を書いていこうと思います。ただし毒を吐くのはほどほどに。 古くなった内容 投稿から3年も経てば、どんな情報も古くなります。サイトの閉鎖やソフトの統合などによるものが深刻です。とくに「Gravit Designer」の回はもはや役に立たなくなったため、再生リストから外しました。「映像学区の中から、あなたの役に立ちそうな情報だけを勉強してくれ」と時々言っているのも、こういったところに理由があります。 デザインの不一致 ゆっくり映像学区の再生リストをはじめから見た人は分かると思いますが、時間の経過に伴い、動画のデザインにかなり変化が生じています。うp主の成長ととらえれば悪いことではないのですが、やっぱり見づらいのは否めません。 「デザインを考えろと主張しておきながら、言っている本人のデザインが最適化されていない」ってのは結構恥ずかしいことです。とくにAviUtlに関する動画では、顕著にデザインの方向性がブレるのでなんとかしなければなりません。 対照的にうまくいっているのが写真旅シリーズです。こちらはデザインのブレがほとんどなく、ローワーサードを除けば一定の基準に収まっているかなと思います。写真旅の企画立ち上げの際に、ちゃんとレイアウトを考えておいて正解でした。 ちなみに、機材・場所を紹介するローワーサードが消滅したのは、編集ソフトを変えたためです(関西ドライブ旅の冒頭シーンを最後に、Premiere ProからDaVinciに移行)。 サウンド 映像学区のサウンドデザインは最悪です。特に「初期のOPの音量がうるさい」と何度か指摘を頂いています。すみません。正直、当時は映像のほうに集中しすぎて、まったくサウンドのことが眼中にありませんでした。その頃の失敗談も、いつか原稿にする必要がありますね。 なおAviUtlの音量(ボリューム)については、このすばらしい動画を観ましょう。 写真旅シリーズの音声についても触れておきましょう。こちらは、機材の割にはよく頑張ったなぁって感じです。「めんどくさい(ハンドリングが悪くなる)」という理由でカメラに外部マイクを付けなかった割には、かなりマトモな仕上がりになったように思っています。 写真旅の音声処理には少しこだわりを持っています。ゆっくりの読み上げ速度をいじったり、動画の環境音をイコライザーで削ったり、そこにゆっくりの語りが収まるようなMIX処理をしたりして、なるべく聴き心地のよい動画を目指しました。 OP・アイキャッチ 昔の大川優介さんの動画を観ていて、「OPがあると立派なチュートリアルに見えるなぁ」と感じたので、当初は映像学区でも毎度OPを付けていました。ところが切り抜き動画ブームが来た頃でしょうか、「映像学区を観るときにOPが冗長だ」とコメントで言われたことがあって、ばっさりカットしてしまいました。 厳密には、コメントが直接のきっかけだったというわけではなく、「うp主自身も映像学区を観るときに、無意識でOPをスキップしている」という事実にじわじわ気づいたのが大きかったんですけどね。 もっとも、なにか大掛かりな映像作品を作るときには新規でOPをつけたいですね。アイキャッチも同様です。そういえば、一時期「シーンチェンジ」と呼んでいたものについて、実は「アイキャッチ」と呼ぶのが正しかったようなので、これは素直に反省します。慣れない言葉を使うからこうなる。 投稿頻度 投稿頻度が落ちているのは、ちょっと申し訳なさを感じています。大学生活で色々手こずっているのと、制作スタッフを募集するほど余裕がないという理由でこうなっています。 焦ってつまらない動画を出すよりかは、じっくり原稿を練っておもしろい動画を作りたいと考えています。…

「Bing AI」とうp主が会話を続けています

ランチタイムに時間があったので、Bingに搭載されている対話型AIに「映像学区について知っているか」と尋ねてみました。ちなみに数か月前、そば屋の待ち時間にChat GPTに同じ質問をした際には「知らない」と言われてしまいました。 待つこと10秒ちょっと、BingのAIが生成した答えは驚くべきモノでした。 「動画制作や写真撮影、デザインなどに関する知識をゆっくり実況で紹介したり、自身の作品を公開したりしています。~中略~。映像学区のウェブサイトでは、動画に関連するエッセイやQ&A、写真旅のレポートなどが掲載されています。」 私はエゴサーチが大好きなので、映像学区について紹介している文章をこれまでたくさん読んできました。だから「このサイトのこの記述を引用したんだな」って部分があれば、余裕で見抜いてしまいます。でも驚いたことに、AIの答えは、WEB上の記事をパクってきたものでもない、完全にオリジナルの洗練された文章だったのです。なんなら投稿者の私が書くよりも、ずっと立派な紹介文を書いているように思います。 BingのAIには現在、1セッション20回という会話回数制限があります。したがって細かい指示を出して作業させるのには向きません。でもなんだか喋り友達ができたような気がして、楽しい気分がします。 ちなみに別のセッションでは、「eizo-gak.com の中でどの記事が一番好きか」という質問にも答えてくれました。おしゃべりが盛り上がりすぎて少し疲れたので、「そろそろお互い水でも飲んで休みましょう」と提案しました。

AIについて思うこと

ChatGPTにすら認知されていない、弱小YouTubeチャンネルの投稿者が、AIについて長ったらしい感想を述べるコーナーです。 「人工知能」という言葉より、「AI」という言葉のほうが不思議と馴染むようになってきました。おそらく一昔前まではこれが逆だったように思うのですが気のせいでしょうか。それだけAIが身近なものになったということかもしれません。とくに2022年から23年にかけて、AIについて耳にする機会が本当に増えました。 AIに関する新しい技術やサービスが発表されるたび、Twitterのタイムラインを賑わせます。「このくらいの仕事なら全部GPTでできちゃう」とか「将来は○○の職業も消滅するだろう」とか、ちょっと煽りっぽくみんな言うわけです。そんな光景を見たらさすがに動揺してしまいますよね。 しかしそういう時こそ、冷静にモノを見つめ、自分の感情を素直に受け止める必要があります。良いと感じたものは「これをどうやって使えば面白くなるか?」と考え、不快に思ったものは「なんで不快に思うのか?」と分析したいのです。今回の記事では、映像学区のうp主として、AIに抱いている素直な感情を整理したいと思います。 幸いにも、AIはまだ「広く普及している」とはいえない未知の段階にあります。未知の段階にあるということは、ある程度論理が通っていれば素直な意見を述べ放題だということです。おびえることはありません。たとえば、今この場で「Windowsが嫌いだ!」と発言すると周囲からヤバい奴だと認定されるでしょうが、「Windows Phoneが嫌いだ!」と言うぶんにはそこまで痛い視線を浴びないで済むとおもいます。このように、広く普及しているモノに対しては猫を被ることが求められますが、そうでないモノについては素直な批評をしても問題ないわけです。ちなみに私は、Windows Phoneのデザインについてはかなり好きです。 AIはどんな映像を導き出すか? 我々、実写映像を使うクリエイターにとって、AIは既に付き合いの深い存在だと感じます。 DaVinci Resolveに入っている手振れ補正だったり、ミラーレス一眼に搭載されているAFだったりは、れっきとしたAIといえるでしょう。世の中がAIについて騒ぎ出すよりはるか昔から、カメラ階層は「Dual Pixel CMOS AFはいいぞ!」とか「某社のホワイトバランスがコケやすい」とか言っていました。まぁ機械学習を受けていたものかどうかは置いておくとしても、AIのような「おまかせ機能」にはすでに馴染みがあるわけです。これらの優れた機能が無ければ、今のクオリティのゆっくり写真旅シリーズは実現しませんでしたから、私自身も相当に恩恵を受けていることになります。 近い将来、インスタグラマーのようなゴリゴリの写真レタッチ処理も、LightroomのAIが勝手にやってくれることでしょう。これはありがたいですね。同じ機材で同じ観光地で撮れば、たいてい似たような画を吐き出せるようになるでしょうから、写真家に求められるものが変わってくるはずです。単純な見た目の良さから、背景にあるストーリー・構図・撮影スポット・珍しさに価値がシフトするかもしれません。もしそんな価値のシフトが起きたら、インスタのみんながまるで撮り鉄のような思考法で映えを狙うわけですから、それはそれで興味深い世界になりそうです。 映像学区で投稿している写真旅Vlogは、単に作品を見せびらかすということだけではなくて、撮るという行為そのものにも重きを置いています。だからAIの発達した将来に、撮る体験がますます楽しいものになることを願っています。初心者の人でもそこそこのカタチにできるのであれば、良いモチベーションになりますし、界隈が盛り上がります。 お絵かきAIに正直になる 初心者の人でもそこそこのカタチにできるのが写真趣味だとしたら、その反対側にあるのがお絵かき趣味でしょう。それなりのモノにするには、どんな人でも数年~十数年という長い鍛錬が必要です。だからこそお絵描きAIは、大きな衝撃と議論をもたらしたのではないでしょうか。 特に「Stable Diffusion」が登場したときには、私も「なんだコレは、素晴らしいじゃないか」と思ったので、ローカル環境(普段の制作PC)にインストールしていじっていました。NvidiaのGPUをフル回転させて遊んでいるうちに、お絵描きAIを映像学区の動画にも活用できるのではないか、とアイデアが浮かびました。 ゆっくりの動画では、人物という便利な被写体を欠いているため、常に映像素材が不足しがちです。人物が喋っている様子を写しただけのカット(専門的にはAロールといいます)で穴埋めできないんですよね。仕方がないので、ゆっくりの動画で穴埋めに困ったときは、テキトーな著作権フリー画像を背景に置いています。 しかし、いつもバッチリハマるフリー画像が用意できるかは分かりません。そういったときに、お絵描きAIに指定の絵を描いてもらえたら便利だなぁと思ったのです。 実は一度だけ、このお絵描きAIを活用して、映像学区の動画を作ったことがあります。それが「映像学区みたいな動くテロップの作り方」回です。使ってみて改めて、Stable Diffusionはすごい取り組みだなぁと実感したわけですが、結局お絵かきAIの登場は、その一度だけで終わってしまいました。 その理由は、私が全然動画を作らなかったせいでもあるんですが、それ以上に、プロンプトに絵師の名前を入れるとうまくいくことに気づいたあたりで、なんだか気がひけてしまったからです。 もっとも気がひけたとからいって、お絵描きAIユーザーのみなさんのことを否定すべきではないなぁとも思います。私が動画の中でお絵描きAIを使わないのは、あくまで「私の個人的な感情がヘンに邪魔をしたせいで、動画に登場しなくなった」というだけのお話です。他の人のAIに対するポリシーについてどうこう言う権利はありません。 むしろ、お絵描きAIを楽しんでいる(=ラーメンを御馳走するイラスト・きわどいイラストを描かせる)人を見ると、実際楽しそうだなぁと思いますし、AIに使い慣れていく過程をいつまでも眺めていたくなります。 創作はAIに奪われるか? では、お絵描きAIが絵師の仕事を奪い、絵師がこの世から消滅するということはあるのでしょうか。同様に、動画師や音楽家もこの世から姿を消すのでしょうか。答えはNoだと思います。…

春の季節の映像学区|SPRING 2023

映像学区もいよいよ何年続けてきたのか分からなくなってきたのですが、おかげさまで現在でも応援の声を多数いただいています。ありがとうございます。インプレッションを稼ぐことをまともに考えてこなかったせいで、登録者数と視聴回数がだんだん乖離し始めているんですが、まぁあまりそういったことは気にせずに動画を投稿していきます。 普段からゆっくりボイス用の原稿を書いていて、気づいたことが1つあります。ときに通説や流行に逆張りをしたり、疑問を投げかけたりしたほうが、基礎がハッキリ見えてくるということです。昨年秋に投稿した「2つのデザイン」の動画も、そんな疑問が輝いた内容でした。性格の悪い執筆のやり方ではありますが、結構あなどれないなぁと思います。 2023年度の動画にもそういった穿った視点を仕掛けてみようと思いながら、現在頑張って原稿を執筆しています。題材は2Dモーショングラフィックスになる予定です。久しぶりにこのジャンルと真剣に向き合いたいと思います。 ここで大事なのは、「2D」であるという点、そして「モーション」がテーマであるという点です。 モデリングソフトを使った3DCGが流行っている中、2Dに秘められた“可能性”をつい忘れがちです。そして映像学区でも、ちゃんと「モーション」をやる機会がついにきました。これまでは動かしたいのをどうにか我慢しながら、静止したデザインをたくさん勉強してきましたが、そろそろ動くデザインを始めて良い頃合いでしょう。 いったいゆっくり映像学区がどんな作品を参考に、どんなアニメーションを作り始めるのか、予想してみると面白いかもしれません。私の過去のツイートをさかのぼれば、ヒントになるかもしれませんよ。

『おにまい』はとても歪んでいるので好きです

2023年冬シーズン放送のアニメに『お兄ちゃんはおしまい!』があります。よくタイトルを略して「おにまい」と呼ばれているようです。視聴者側を狂わせてしまいそうなそのキャラクター設定が功を奏しているのか、感想やファンイラストが、Twitterのタイムラインを毎週のように賑わせています。 私も日本一周の旅に出る前まではリアタイ視聴で追いかけていました。そして第一話を見た段階で、すでに私はこの作品をぜひいろんな人におすすめしたいと思っていました。その理由はなにより、おにまいに秘められた「歪み」にあります。 歪みのかたまり 引きこもりのダメニートな緒山まひろは、ある日目覚めると“女の子”になっていた!? 鏡に映る美少女が自分だと分からず混乱するまひろのもとに、飛び級で大学に入学した天才科学者である妹・緒山みはりが現れ、飲み物に怪しげな薬を盛られていたことが判明する…! (https://onimai.jp/) 公式のストーリー紹介を引用させてもらいますが、改めてテキストに起こすと、イントロダクションの時点でめちゃくちゃ歪んでいて圧倒されます。個人的な意見としては「こういったぶっ飛んだシナリオの作品がもっともっと増えてほしいなぁ……」と思っていますが、まぁそれはそれとして、おにまいに隠れた本当の歪みはその作画にあります。 このアニメは超広角構図の宝庫なのです。上に貼ったPVでは0:23、0:44、0:46あたりが分かりやすいでしょうか。 アニメ作品は手描きで作られることが多いですが、手描きとはいえキャラクターを"映している"わけなので、現実世界のレンズで撮ったのと似たような構図になります。人物を撮るなら、ふつう 35mm から 200mm くらいの焦点距離を選びます。 ところがおにまいでは、12mm (fish-eye) から 14mm くらいの超広角が積極的に取り入れられています。その多くが主人公の自宅を写したショットです。部屋全体が見事に収まっているし、パースによってアニメーションの躍動感も増します。 すごい所は、広角で隅が歪んでいるという点だけではありません。 レンズの手前にわざとモノを置くことで、 雑多な部屋の中に仕掛けられた隠しカメラから、キャラを覗き見ているかのような演出をしています。ボケの小さな超広角でも、構図次第でいろいろな演出ができるんですね。覗き見というと、Laowaの24mm Probeレンズを思い出します。 意外と盲点な広角レンズ おしゃれなVlogを撮影したいという皆さんには、ぜひおにまいの視聴をおすすめします。特に、一眼動画をあまりやったことがないという人には、これがどのレンズで撮られた映像に近いか研究してみてほしいです。きっとおにまいを見ることで、広角レンズへの興味がわくことでしょう。「24mm程度なら、たいして歪まないんだなぁ」のような感覚を養えます。 私がこんなにも広角について語るのは、カメラ初心者のみなさんにぜひ広角ズームレンズを買ってほしいからです。 初心者がまず1本買うべきレンズはどれか。そんな問いに対して、よく言われるのが「35mmや50mmの標準レンズを買おう」という意見です。しかしこれらは正直、1本目としてはおすすめできません。 描写は美しいですが、画角がどうしても窮屈で場所を選ぶからです。たしかに35mmや50mmは、人の表情を写すなら良い焦点距離ではあるものの、風景全体を写すとなると少し事情が違います。 日本の家屋の1部屋は、欧米のものにくらべて狭く作られていることも多いです。この時しばしば起こるのがレンズの広角端不足です。部屋にいる人の表情は標準レンズで写せても、部屋全体の状況を写すことは厳しいんですよね。たとえば私の場合は、自室の作業環境全体を写そうとしても、35mmや50mmでは画角が足りません。でもこれは別に珍しいことではないはずです。みんなが自室スタジオを持っているわけではありませんし。 この画角問題を解決してくれるレンズが、まさに16-35mmのような広角ズームレンズなのです。旅動画を撮るという場合でも、やろうと思えば、広角ズームレンズ1本で完結させることができます。広角というとなんだかトリッキーな気がして敬遠しがちですが、一度使ってみれば「これは便利だなぁ」と考え直すはずです。 おわりに 今回は冬のアニメを題材に、広角についてお話ししました。ぜひオシャレなVlogを撮りたいという方には、この『おにまい』という作品をじっくり研究してほしいなと思います。自信をもっておすすめできます。…

XF35mmF1.4と走る新東名高速道路

2021年の年末、父親とミニバンを運転して関西へ出かけました。クルマの免許を取ってからだと、初の超長距離ドライブです。後部座席に撮影機材一式を積んで、朝焼けの横浜を旅立ちます。目的地は私の祖父母のお家です。 いちおう映像系YouTuberとはいえ、まだ沼の浅いところにいる健全な人間です。したがって家族のお出かけくらいでいちいちガチ撮影装備を持っていくことはありません。しかしこのときは少し事情が違いました。関西に出向く理由は、祖父母の映像記録を残すためだったのです。 私は当時、家族からこんな提案を受けていました。「そろそろ高齢になる祖父母を記録しておきたい」と。そんなわけで映像学区で活躍しているFUJIFILM X-T3を貸してほしいと。 その頃、ちょうど「ポートレート・ドキュメンタリー」という形式の作品に出会って、これはいいなと思っていました。ドキュメンタリーというと、大がかりな取材を経た長編作品を想像しますが、実は短編作品くらいなら個人でも作ることができます。ある人物にスポットライトをあて、カメラの前で人生の知見を語っていただく。そうすることで、この世の中にあった考え方の一片を何十年も残すことができるのです。 このとき映像の企画として思いついたのが、「祖父母をドキュメンタリーにしよう」というものです。ゆっくり映像学区として発信してきた内容をフルで活かす機会がきたようで、とても嬉しくなりました。 せっかくですし、しっかりした機材を使って撮影したいなぁと思いました。カメラはもちろん、取材用ワイヤレスマイク・Xマウントレンズ3本・スタビライザー・三脚と、これほどまでに充実した機材を持って、家族と旅するのは初めてでした。 実はXF35mmF1.4はこの取材のために購入したレンズでした。海外ほど広くはない日本の家屋で、人物撮りから物撮りまで対応できる優秀な画角が持ち味です。とろけるボケ感としびれる解像感がクセになります。しかも187gという軽さです。 今日の記事で貼るのは、関西へ向かう道中、35mmの画角に慣れるために撮影した写真です。時速120キロ近くで駆け抜ける新東名高速・新名神高速はとても気持ちがいいですね。帰りの名阪国道もなかなか面白い体験でしたが。

AviUtlでコールアウト・テキストを学ぶ

コールアウト・テキストとは? 「コールアウト」とは図などを指し示す補足説明のことです。日常ではあまり聞き慣れない言葉ですが、テレビ番組の中や取扱説明書の中で見かけたことはあると思います。せっかくですしAviUtlでも作ってみましょう。詳しくは動画へ。 ※STEP1の補足(MSゴシックの太字加工) フォントの選び方についてコメントをいただいたので、説明を追加します。 動画の作例では主に、「源ノ角ゴシック」と「Futura」というフォントを採用しています。いずれもAdobe Fonts等で手に入れられるものです。おそらくプロのデザイナーに教えを請えば、もっと優れた有償フォントを紹介されると思います。ただし正直なところ、アマチュアとして出す動画くらいであれば、ガチガチにフォントに拘る必要はないと思っています。 優れたフォントには、見栄えを90点から100点にする力はありますが、40点を90点にする力はありません。見栄えが40点くらいだと思ったならば、まずはレイアウトを改善すべきです。 でも、フォントの種類くらいは、使い分けできておいたほうがいいかもしれませんね。 たとえば今回のコールアウトでは小さいテキストを多用します。このとき、太めのゴシック体を軸にしてフォントを選んでいくとミスしにくいです。近年ウェイトの細いゴシック体もたくさんありますが、コールアウトには少々馴染みにくいようにも感じます。 下の画像は「MSゴシック」でコールアウトを組んだ例です。MSゴシックはその細さがネックとなるフォントなのですが、AviUtlでBold(太字)ボタンを押してあげることで、見た目をそこそこ改善できます。 この「Boldボタン芸」はある種の反則技のような気もしますが、映像学区ではいろいろな場面でこっそり使っています。たとえばスタッフロール回では、「MS明朝」で同様の手順を試しています。いずれもバカにされがちなフォントですが、控えめなサイズで使うぶんには案外悪くなさそうです。

コメント返し年末番組2022

いつも映像学区の動画には数十件ほどコメントをいただきます。中には興味深いコメや新しい視点をくれたコメがたくさんありました。それらを私が独り占めするのはもったいないですから、ぜひ皆さんにも共有したい。 2022年もまもなく終わります。みなさんにとって今年はどんな1年でしたか? 映像学区の2022年は、チュートリアルを控えめに写真旅シリーズを頑張った1年でした。投稿本数は多くなかったので、常連の皆さんの中にも退屈した人がいたかもしれません。 ちょうど昨年の今頃でしょうか。映像学区も息の長いシリーズになるにつれて「チュートリアルを出すばっかりではいけないな」と思うようになりました。常に新しい挑戦が無ければ、いいものは生まれないからです。ネタ切れしたわけではないんですが、 もっといい原稿を書けるはずでは、と。 このような過程を経て、随分とわがままな投稿頻度になってしまいました。しかし、それでも「映像学区が見たい」という声がたくさん聞こえてきて、本当に嬉しかったです。2022年も映像学区を追いかけていただきありがとうございました。