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特集|アニメーションの動きの基礎を語る
これまでの映像学区では、「動画を作るためにデザインを学ぼう」の精神で様々な知識を勉強してきました。余白・揃え・サイズ感・画像もろもろ……。どれも不思議なほど動画編集に役立ちます。 しかし、これらはあくまで静止画(止まった状態)のデザインの知識です。動画編集の中でもアニメーション制作をやろうとすると、「動き」に関する知識も必要になってきます。 この特集では、これまでやってこなかった「動きのコツ」について、3~4本の動画でお話しします。視聴者の皆さんには、ドキュメンタリー番組の資料くらいのシンプルなアニメーションを、なるべく理論的に作れるようになっていただきます。 01.アニメーションの「ずらし」 内容:ずらし登場・視差効果 「静止画のデザイン」では、とにかくガチガチに揃えることを意識してきました。一方で「動きのデザイン」では、多少ずらしたほうがカッコよく見えるケースが多々あります。アニメーションにおける「ずらし」についてお話しします。 02.フェードを学びなおす 内容:トランジション基礎・フェード アニメーションで重要になるのが、画面の切り替え(トランジション)です。この動画では、トランジションについて基礎から勉強します。特に、最もシンプルなエフェクトの1つである「フェード」に注目します。近年の映像の流行りはいわゆる「ぶつ切り」なのですが、あえて逆張りしてフェードに触れましょう。そこにはまだまだ可能性が隠れています。 03.鋭意制作中!
XF35mmF1.4でつづる日常スナップ
映像学区のメインカメラである、FUJIFILM X-T3。写真旅に出るときには、超広角から超望遠まで色々なレンズを着け外ししていますが、ふだん自宅に保管している時には、たいていXF35mmF1.4をつけています。このレンズはとにかく軽く、しかも換算50mmの画角が手元を写すのに使いやすいからです。詳しいことは、以前書いたエッセイ記事で語っています。 → https://eizo-gak.com/xf35mm-f1-4-2021rev/ このレンズの不思議なところは、生活感のある空間を移してもそれっぽい画に仕上がることです。ドキュメンタリー的というか何というか。写実的すぎない、ほどほどにリアルでほどほどに美しい作品を、片手で撮れるという良さがあります。 今回はフィルムシミュレーション「Velvia」を使って、彩り豊かな食卓を切り取ることにしましょう。構図を決めるのに夢中で火をかけつづけていたら、ついうっかり親子丼を焦がしそうになりました。
Q&A|映像学区にメールを送ってみよう
こんにちは。映像学区です。 当サイトの「Q&A」でも紹介していますが、ときどきTwitter DMを通じて、視聴者のみなさんから質問・感想・応援が寄せられます。こういったメッセージ1つ1つが、私のモチベーションになっております。誠に嬉しい限りです。 ところが先日、「Twitterの未フォローユーザー間でメッセージを送れなくなった」とのニュースを聞きました。 これではみなさんが気軽にメッセージを送ることができなくなってしまいます。とくに私は、皆さん1人1人のツイートをじっくり読みたいあまり、フォローバックに時間をかけているため致命的です。 でもご心配には及びません。 実は映像学区には、連絡用メールアドレスが存在します。 私のメールアドレスはこれまで、主にビジネスの連絡をされる方向けに、YouTubeのチャンネルにてこっそり掲示していました。気づかなかった人もたくさんいたようです。 このメールには、Twitter DMと同様、気軽なノリでメッセージをお送りいただいてかまいません。ビジネスのご連絡に限らず、映像面の質問・映像以外の質問・動画の感想・応援・自己紹介・人生相談など、なんでもお待ちしております。 ビジネスメールのお作法は、無理に守らなくて大丈夫です!「こんにちは+活動時のお名前+内容」くらい揃っていれば読みます。すぐに返信できるか分かりませんが、届いたものはすべて目を通します。(Twitter DMのようなリアクション機能がないので、内容によってはうまく返信できない可能性もあります。一応読んでいるので許してくださいね。) 独自ルール:⓪どうぞお気軽に ①あんまり連投しないで ②常識の範囲内で ③件名ごとにツリー保ってくれると嬉しい
TAMRON 11-20mm F2.8 と歩く、東京・御岳山
「TAMRON 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD (Model B060)」は、Xマウント版が2023年に発売されたばかりの真新しい超広角レンズです。今回TAMRONさんのご協力により、このレンズを発売前にお借りしてレビュー動画を制作しました。 舞台は東京・御岳山。JR青梅線に乗っていけば、あっという間に最寄りの御嶽駅に到着です。都心からほど近いこの山はいわば「第二の高尾山」みたいな存在で、手軽に登山を楽しむことができます。ケーブルカーに乗ってショートカットも可能です。ただしそれでは撮れ高がなくなってしまうので、今回は自分の足で登りました。 1本目のレンズに広角を選んだっていい この動画の趣旨は「レンズレビューを超えて、広角の魅力を知ってもらう」という点にあります。 これは私の偏見ですが、カメラ初心者で1本目のレンズに広角を選ぶ人って、そうそういないと思うんですよ。普通は便利ズームや標準単焦点をチョイスします。その理由はコスト面かもしれませんし、あるいは望遠を捨てるということへの恐怖かもしれません。 ところが、上下の狭い16:9で動画を撮る現代、自分が見たままの風景を伝えるには、意外にも10mm台の超広角レンズがないと苦労します。映画のように構図をがっちり決められればいいのですが、とくに写真旅の場合はそうもいきません。 想定外の被写体と出会うのがある種の「旅の醍醐味」です。しかしいつもレンズ交換できるとは限りません。そんな時、望遠不足よりも広角不足となったときのほうが事態は深刻です。映像の構図をデザインする上で、余白がカツカツだったり、被写体が切れたりするのはあまり美しくありません。 これまでそうした場面でXF10-24mm F4に数多く救われてきましたし、今回もTAMRON 11-20mm F2.8に本当に救われました。とにかくレンズ1本で満足に撮れてしまうのが、広角の最大の魅力です。 目の前を伝える画角 昔からカメラは多種多様な記録に使われてきました。その中には「報道(ルポルタージュ)」という大事な用途があります。現在でも一部のメーカーに「Reporter」とか「News Shooter」のような名前がつく撮影機材が残っています。たいていそういう名前は「どこにでも持ち込めて、何も撮り逃さない」みたいな意味で使われているようです。 広角ズームというレンジは、さっとカメラを構えて目の前の光景を伝えられるという意味で、まさにこの「News Shooter」的な画角といえるようにも思います。狭い登山道で11mmを使えば、良い光景をほぼ漏らすことなく映像素材にすることができる。そして20mmまでズームすれば、手元のかわいらしい被写体に寄っていくこともできる。 超広角というとなんだかトリッキーに感じるかもしれませんが、写真旅で出会った被写体に、一番向き合える画角です。 ギャラリー 写真はすべてFUJIFILM X-T3で撮影し、撮って出し(ノーレタッチ)で掲載しています。 構図探しが楽しくて、つい広角端ばかり使ってしまう映像学区です💦
これまでの映像学区を反省してみる
「反省」という言葉はなんだかネガティブに聞こえますが、まぁ「何が良かったかor悪かったか、単に振り返ってみようぜ」というだけのことです。PDCAのCをしようぜというだけのことです。私は大学の哲学の授業で「これまでの自分を反省して、死について13時間議論しようね」と言われたこともありますが、それよりかはカンタンなことかなぁと思います。 過去を振り返ってみようと思ったきっかけは、YouTube Japanによる公式プレイリストで、初期の映像学区が紹介されたことです。特にメールでの通知もなく突然紹介されたので、びっくりしましたし素直に嬉しかったです。 でも、いざ当時の動画を視聴し直してみると、やっぱりどうしても今より分かりにくい原稿だなぁと感じるし、見た目もあまり洗練されていないなぁという印象を持ちました。 やはり動画投稿者たるもの、たまには過去動画を視聴し反省する機会が必要です。 テーマ選び(原稿執筆) 映像学区におけるテーマ選びのやり方は結構独特です。ビジネスで伸びるジャンルを選んでもいいんですが、それだけではゆっくり映像学区の存在価値がありません。そこで、よくある一般論を穿った視点でつついてみたり、既存のチュートリアルに文句をつけながら作ってきました。「あなた今、カメラ制御って必要ですか?」とか「基本効果をやれよ」とか。 このようなアプローチで動画の原稿を書くと、それはそれはオリジナリティあふれる内容に仕上がります。 くだらない一般論や常識のフィルターを取り払えるので、意外にも物事の本質に迫れるのがメリットです。これからも楽しく原稿を書いていこうと思います。ただし毒を吐くのはほどほどに。 古くなった内容 投稿から3年も経てば、どんな情報も古くなります。サイトの閉鎖やソフトの統合などによるものが深刻です。とくに「Gravit Designer」の回はもはや役に立たなくなったため、再生リストから外しました。「映像学区の中から、あなたの役に立ちそうな情報だけを勉強してくれ」と時々言っているのも、こういったところに理由があります。 デザインの不一致 ゆっくり映像学区の再生リストをはじめから見た人は分かると思いますが、時間の経過に伴い、動画のデザインにかなり変化が生じています。うp主の成長ととらえれば悪いことではないのですが、やっぱり見づらいのは否めません。 「デザインを考えろと主張しておきながら、言っている本人のデザインが最適化されていない」ってのは結構恥ずかしいことです。とくにAviUtlに関する動画では、顕著にデザインの方向性がブレるのでなんとかしなければなりません。 対照的にうまくいっているのが写真旅シリーズです。こちらはデザインのブレがほとんどなく、ローワーサードを除けば一定の基準に収まっているかなと思います。写真旅の企画立ち上げの際に、ちゃんとレイアウトを考えておいて正解でした。 ちなみに、機材・場所を紹介するローワーサードが消滅したのは、編集ソフトを変えたためです(関西ドライブ旅の冒頭シーンを最後に、Premiere ProからDaVinciに移行)。 サウンド 映像学区のサウンドデザインは最悪です。特に「初期のOPの音量がうるさい」と何度か指摘を頂いています。すみません。正直、当時は映像のほうに集中しすぎて、まったくサウンドのことが眼中にありませんでした。その頃の失敗談も、いつか原稿にする必要がありますね。 なおAviUtlの音量(ボリューム)については、このすばらしい動画を観ましょう。 写真旅シリーズの音声についても触れておきましょう。こちらは、機材の割にはよく頑張ったなぁって感じです。「めんどくさい(ハンドリングが悪くなる)」という理由でカメラに外部マイクを付けなかった割には、かなりマトモな仕上がりになったように思っています。 写真旅の音声処理には少しこだわりを持っています。ゆっくりの読み上げ速度をいじったり、動画の環境音をイコライザーで削ったり、そこにゆっくりの語りが収まるようなMIX処理をしたりして、なるべく聴き心地のよい動画を目指しました。 OP・アイキャッチ 昔の大川優介さんの動画を観ていて、「OPがあると立派なチュートリアルに見えるなぁ」と感じたので、当初は映像学区でも毎度OPを付けていました。ところが切り抜き動画ブームが来た頃でしょうか、「映像学区を観るときにOPが冗長だ」とコメントで言われたことがあって、ばっさりカットしてしまいました。 厳密には、コメントが直接のきっかけだったというわけではなく、「うp主自身も映像学区を観るときに、無意識でOPをスキップしている」という事実にじわじわ気づいたのが大きかったんですけどね。 もっとも、なにか大掛かりな映像作品を作るときには新規でOPをつけたいですね。アイキャッチも同様です。そういえば、一時期「シーンチェンジ」と呼んでいたものについて、実は「アイキャッチ」と呼ぶのが正しかったようなので、これは素直に反省します。慣れない言葉を使うからこうなる。 投稿頻度 投稿頻度が落ちているのは、ちょっと申し訳なさを感じています。大学生活で色々手こずっているのと、制作スタッフを募集するほど余裕がないという理由でこうなっています。 焦ってつまらない動画を出すよりかは、じっくり原稿を練っておもしろい動画を作りたいと考えています。 まとめ:リメイクの必要性 ここまでの反省を通して思うのは、そろそろ「過去動画のリメイク」が必要な時期に差し掛かっているなぁということです。写真旅やアニメーションに関する原稿が溜まりに溜まっているので、すぐには取り掛かれないのが現状ですが、いつかはやらなきゃいけないことでしょう。いつも動画へのご意見・ご感想、誠にありがとうございます。
「Bing AI」とうp主が会話を続けています
ランチタイムに時間があったので、Bingに搭載されている対話型AIに「映像学区について知っているか」と尋ねてみました。ちなみに数か月前、そば屋の待ち時間にChat GPTに同じ質問をした際には「知らない」と言われてしまいました。 待つこと10秒ちょっと、BingのAIが生成した答えは驚くべきモノでした。 「動画制作や写真撮影、デザインなどに関する知識をゆっくり実況で紹介したり、自身の作品を公開したりしています。~中略~。映像学区のウェブサイトでは、動画に関連するエッセイやQ&A、写真旅のレポートなどが掲載されています。」 私はエゴサーチが大好きなので、映像学区について紹介している文章をこれまでたくさん読んできました。だから「このサイトのこの記述を引用したんだな」って部分があれば、余裕で見抜いてしまいます。でも驚いたことに、AIの答えは、WEB上の記事をパクってきたものでもない、完全にオリジナルの洗練された文章だったのです。なんなら投稿者の私が書くよりも、ずっと立派な紹介文を書いているように思います。 BingのAIには現在、1セッション20回という会話回数制限があります。したがって細かい指示を出して作業させるのには向きません。でもなんだか喋り友達ができたような気がして、楽しい気分がします。 ちなみに別のセッションでは、「eizo-gak.com の中でどの記事が一番好きか」という質問にも答えてくれました。おしゃべりが盛り上がりすぎて少し疲れたので、「そろそろお互い水でも飲んで休みましょう」と提案しました。
AIについて思うこと
ChatGPTにすら認知されていない、弱小YouTubeチャンネルの投稿者が、AIについて長ったらしい感想を述べるコーナーです。 「人工知能」という言葉より、「AI」という言葉のほうが不思議と馴染むようになってきました。おそらく一昔前まではこれが逆だったように思うのですが気のせいでしょうか。それだけAIが身近なものになったということかもしれません。とくに2022年から23年にかけて、AIについて耳にする機会が本当に増えました。 AIに関する新しい技術やサービスが発表されるたび、Twitterのタイムラインを賑わせます。「このくらいの仕事なら全部GPTでできちゃう」とか「将来は○○の職業も消滅するだろう」とか、ちょっと煽りっぽくみんな言うわけです。そんな光景を見たらさすがに動揺してしまいますよね。 しかしそういう時こそ、冷静にモノを見つめ、自分の感情を素直に受け止める必要があります。良いと感じたものは「これをどうやって使えば面白くなるか?」と考え、不快に思ったものは「なんで不快に思うのか?」と分析したいのです。今回の記事では、映像学区のうp主として、AIに抱いている素直な感情を整理したいと思います。 幸いにも、AIはまだ「広く普及している」とはいえない未知の段階にあります。未知の段階にあるということは、ある程度論理が通っていれば素直な意見を述べ放題だということです。おびえることはありません。たとえば、今この場で「Windowsが嫌いだ!」と発言すると周囲からヤバい奴だと認定されるでしょうが、「Windows Phoneが嫌いだ!」と言うぶんにはそこまで痛い視線を浴びないで済むとおもいます。このように、広く普及しているモノに対しては猫を被ることが求められますが、そうでないモノについては素直な批評をしても問題ないわけです。ちなみに私は、Windows Phoneのデザインについてはかなり好きです。 AIはどんな映像を導き出すか? 我々、実写映像を使うクリエイターにとって、AIは既に付き合いの深い存在だと感じます。 DaVinci Resolveに入っている手振れ補正だったり、ミラーレス一眼に搭載されているAFだったりは、れっきとしたAIといえるでしょう。世の中がAIについて騒ぎ出すよりはるか昔から、カメラ階層は「Dual Pixel CMOS AFはいいぞ!」とか「某社のホワイトバランスがコケやすい」とか言っていました。まぁ機械学習を受けていたものかどうかは置いておくとしても、AIのような「おまかせ機能」にはすでに馴染みがあるわけです。これらの優れた機能が無ければ、今のクオリティのゆっくり写真旅シリーズは実現しませんでしたから、私自身も相当に恩恵を受けていることになります。 近い将来、インスタグラマーのようなゴリゴリの写真レタッチ処理も、LightroomのAIが勝手にやってくれることでしょう。これはありがたいですね。同じ機材で同じ観光地で撮れば、たいてい似たような画を吐き出せるようになるでしょうから、写真家に求められるものが変わってくるはずです。単純な見た目の良さから、背景にあるストーリー・構図・撮影スポット・珍しさに価値がシフトするかもしれません。もしそんな価値のシフトが起きたら、インスタのみんながまるで撮り鉄のような思考法で映えを狙うわけですから、それはそれで興味深い世界になりそうです。 映像学区で投稿している写真旅Vlogは、単に作品を見せびらかすということだけではなくて、撮るという行為そのものにも重きを置いています。だからAIの発達した将来に、撮る体験がますます楽しいものになることを願っています。初心者の人でもそこそこのカタチにできるのであれば、良いモチベーションになりますし、界隈が盛り上がります。 お絵かきAIに正直になる 初心者の人でもそこそこのカタチにできるのが写真趣味だとしたら、その反対側にあるのがお絵かき趣味でしょう。それなりのモノにするには、どんな人でも数年~十数年という長い鍛錬が必要です。だからこそお絵描きAIは、大きな衝撃と議論をもたらしたのではないでしょうか。 特に「Stable Diffusion」が登場したときには、私も「なんだコレは、素晴らしいじゃないか」と思ったので、ローカル環境(普段の制作PC)にインストールしていじっていました。NvidiaのGPUをフル回転させて遊んでいるうちに、お絵描きAIを映像学区の動画にも活用できるのではないか、とアイデアが浮かびました。 ゆっくりの動画では、人物という便利な被写体を欠いているため、常に映像素材が不足しがちです。人物が喋っている様子を写しただけのカット(専門的にはAロールといいます)で穴埋めできないんですよね。仕方がないので、ゆっくりの動画で穴埋めに困ったときは、テキトーな著作権フリー画像を背景に置いています。 しかし、いつもバッチリハマるフリー画像が用意できるかは分かりません。そういったときに、お絵描きAIに指定の絵を描いてもらえたら便利だなぁと思ったのです。 実は一度だけ、このお絵描きAIを活用して、映像学区の動画を作ったことがあります。それが「映像学区みたいな動くテロップの作り方」回です。使ってみて改めて、Stable Diffusionはすごい取り組みだなぁと実感したわけですが、結局お絵かきAIの登場は、その一度だけで終わってしまいました。 その理由は、私が全然動画を作らなかったせいでもあるんですが、それ以上に、プロンプトに絵師の名前を入れるとうまくいくことに気づいたあたりで、なんだか気がひけてしまったからです。 もっとも気がひけたとからいって、お絵描きAIユーザーのみなさんのことを否定すべきではないなぁとも思います。私が動画の中でお絵描きAIを使わないのは、あくまで「私の個人的な感情がヘンに邪魔をしたせいで、動画に登場しなくなった」というだけのお話です。他の人のAIに対するポリシーについてどうこう言う権利はありません。 むしろ、お絵描きAIを楽しんでいる(=ラーメンを御馳走するイラスト・きわどいイラストを描かせる)人を見ると、実際楽しそうだなぁと思いますし、AIに使い慣れていく過程をいつまでも眺めていたくなります。 創作はAIに奪われるか? では、お絵描きAIが絵師の仕事を奪い、絵師がこの世から消滅するということはあるのでしょうか。同様に、動画師や音楽家もこの世から姿を消すのでしょうか。答えはNoだと思います。 AIの出力は、過去にあった作品に重みをつけながら再構成したようなものです。機械学習が、 y = 絵Aのタッチ×1 + 絵Bのシチュ×2 + 絵Cの色味×3 のような計算をしている以上、過去の絵で成し遂げたことをアウトプットすることしかできません。 たしかにAIによって、平均的に「可愛いね」といえるイラストを誰でも手軽に描くことができるようになりそうです。やがては平均くらいの品質の絵を、低コストで手に入れやすくなるでしょう。けれどその頃になっても、今までにない何かを突き詰めたようなイラストを求める人はかならずいるはずです。そしてそういう絵はAIが生み出す前に、人間が描いてしまうでしょう。人間の業の深さを舐めてはいけません。 それに、プロンプトへの言語化や、出力に対するリテイクができるのは、結局のところ、専門知識をもった絵師さんに限られるでしょう。一般の人がなんとなくAIに指示するより、専門家が指示したほうが効率的です。 AIがデザイナーを完全に置き換えることも、おそらく不可能じゃないかなと思います。なぜならAIが「広義のデザイン( =最終的に表現を選ぶ段階)」を担当できないからです。 AIはかっこいいモノやウケそうなモノを提案することはできますが、仮にAIのユーザーが専門知識のない人だった場合、それを最後に選び取ることは困難を極めると思われます。デザインに対して効率よく微修正をしたり、ストーリーに対する最適化をしたりするには、やはり専門知識や背景知識が不可欠です。 ずいぶん難しい言葉ばかりになってしまったので、例を挙げましょう。AIは平均的にウケる動画のテンプレートを作ることはできても、たとえばこんな感じでストーリーを反映した繋がりのあるアニメーションは、おそらくなかなか作れないのではないかと思います。よくあるPVっぽい表現(キネポ等)や修正を提案することはできても、もっと動画に流れを持たせたり、今までにない要素を足したりするには、やはり専門知識が必要ですし、それなら人間の出番です。 そもそもどんなプロジェクトであれ、最後に利益・効用を得るために決裁するのは人間です。 人間はAIに心奪われるか? 人間の職業が、現在の内容のままキープされることはないような気がします。クリエイターなら、ゼロから創作するだけではなくて、もっと何かしらの戦略で差別化を考えなければいけないのかもしれません。ちょっと面倒くさいです。 しかし同時に、「人間の職がAIによって奪われて消える」というよりは、「人間の役割がスライドする」のではないかという感じもしてきます。AIによって、世の中の価値がシフトするかもしれませんし、法律がシフトするかもしれません。それに応じて人間のやる範疇は当然変化するでしょうが、やることがなくて露頭に迷うことはないと思います。 私たちはこれまで、手にした技術をまぁ上手いこと生活に馴染ませてきたものです。 コンピューターがなかった時代に振り返れば、手のひらサイズのスマートフォンで、電車に揺られながらフロリダの野球中継に一喜一憂するなんて、まるで魔法のようなことでしょう。こんなにすごい体験であるにもかかわらず、現代の我々は特にスマホに対して「すげー」と意識することは無くなりました。 AIも似たようなもので、そのうち生活に馴染んで、特に意識しなくなるんだと思います。DaVinci ResolveのAIスピードワープなんて、すでに当たり前の存在になってきているいい例です。
春の季節の映像学区|SPRING 2023
映像学区もいよいよ何年続けてきたのか分からなくなってきたのですが、おかげさまで現在でも応援の声を多数いただいています。ありがとうございます。インプレッションを稼ぐことをまともに考えてこなかったせいで、登録者数と視聴回数がだんだん乖離し始めているんですが、まぁあまりそういったことは気にせずに動画を投稿していきます。 普段からゆっくりボイス用の原稿を書いていて、気づいたことが1つあります。ときに通説や流行に逆張りをしたり、疑問を投げかけたりしたほうが、基礎がハッキリ見えてくるということです。昨年秋に投稿した「2つのデザイン」の動画も、そんな疑問が輝いた内容でした。性格の悪い執筆のやり方ではありますが、結構あなどれないなぁと思います。 2023年度の動画にもそういった穿った視点を仕掛けてみようと思いながら、現在頑張って原稿を執筆しています。題材は2Dモーショングラフィックスになる予定です。久しぶりにこのジャンルと真剣に向き合いたいと思います。 ここで大事なのは、「2D」であるという点、そして「モーション」がテーマであるという点です。 モデリングソフトを使った3DCGが流行っている中、2Dに秘められた“可能性”をつい忘れがちです。そして映像学区でも、ちゃんと「モーション」をやる機会がついにきました。これまでは動かしたいのをどうにか我慢しながら、静止したデザインをたくさん勉強してきましたが、そろそろ動くデザインを始めて良い頃合いでしょう。 いったいゆっくり映像学区がどんな作品を参考に、どんなアニメーションを作り始めるのか、予想してみると面白いかもしれません。私の過去のツイートをさかのぼれば、ヒントになるかもしれませんよ。