https://youtube.com/playlist?list=PLDFzxU3QDRhhLB8BGaIp4oKaaXB_Ig91l
私が動画編集を勉強したとき、なんだかんだで研究材料としてお世話になったのが「ギャルゲーのOPムービー」です。OPムービーを見ていく過程で、相当な数の主題歌にも出会うことになりました。
ストーリーに沿った楽曲とOPムービーが一体化しているのを観ると、鳥肌が立ちます。アニソンほど注目されることはありませんが、ゲーム主題歌には隠れた名曲が非常に多く、ついついDIGるのをやめられなくなってしまいます。
「ギャルゲOPムービー」という文化が進展した2000年代~2010年代ごろは、ちょうどデジタル環境で作る作曲方法が発展途上だった時期と重なります。シンセサイザーこそ昔から存在しますが、ブラス・ストリングス等のサンプリング音源に視点を移してみると、まだ現在ほどのリアリティはありませんでした。
ところがどういうわけか、これが耳に馴染むんですよね。
当時のデジタル・ミュージックには、当時特有のふわふわしたミライっぽい雰囲気があって、個人的にはそこに豊かな哀愁を感じています。ゴリゴリに機械感のあるEDMやクラブミュージックでもなければ、リアルな生音源のポップスでもない、そしてよくあるバンドサウンドでもない、中庸をいく何かがそこにはあります。
しかし私は、この「ふわふわしたミライっぽさ」についてうまく共有できる人間に、未だ1度しか出会ったことがありません。そこで、その人物と協力して「ミライ系の曲リスト」というプレイリストを共同編集することにしました。
再生リスト「ミライ曲などのリスト」
この再生リストは、「秀逸なコード進行・ミライっぽい雰囲気をふくむ・聴いていてハッとする」を基本のルールとして収集したものです。ただし、現在はHPごと消えてしまったゲームの楽曲アーカイブや、少し昔のVOCALOID曲、作曲家を辿って探したマイナー曲、2020年代の新しい表現の曲なども含まれています。
みなさんにとって新しい曲・概念との接点となれば幸いです。
再生リストの一部を抜粋
個人的に特にぶっ刺さった曲をいくつか貼ります。
本WEBサイト ( eizo-gak.com ) を開設してから、まもなく1年となります。この場所で記事を真面目に書くようになったのは最近のことですから、「意外に早いな」と思われるかもしれません。いまだにYouTubeのほうで「新しいサイトになったよ!」と告知をしていないのですが、その割にはいつもたくさんの方に訪れていただいており驚いています。
今日は、このサイトの技術面についてのお話です。
まず、このサイトの基本的な構造について。
eizo-gak.comは、本質的には個人ブログやアフィリエイトブログなどと大差ありません。WordPressというサービスをレンタルサーバーの上で動かすことで、みなさんのブラウザに記事を表示させています。
いずれ古いドメインは捨ててしまおうかなと考えています。現在は旧ブログのURLを踏むと、自動的にeizo-gak.comへつながるようになっているはずです。昔のURLしか知らない方でもeizo-gak.comへやって来られるように設定しています。
昨年の、ちょうど今ぐらいの季節に頑張っていたのが、WordPressのテーマ選びです。
WordPressには「テーマ」という概念があります。テーマによってサイトの大枠のデザインが定義されており、世界中の様々なWebデザイナーさんが、このテーマを有償無償問わず配布してくれています。いろいろな用途向けにたくさんのテーマが作られており、ブログ用のもの、企業LP用のものから、写真家用のものまで、探せば何でもあります。
このテーマに頼ることで、HTMLやCSSの知識がなくても、デザインの整ったサイトを作ることができます。
日本で売っているWordPressテーマにも有名どころがいくつかあります。まぁ本来ならそれを選んでおくのが無難なんですが、私はあえて避けることにしました。日本のテーマはどうしても「ジャパニーズ・アフィリエイトブログ」感が抜けないし、どれも定価が1万円ほどと高価です。私はHTMLもCSSも得意ではないのですが、だからといって1万円もかけて、それでありふれたものしか手に入らないというのは、少し面白みに欠けるような気がしました。
それに映像学区は「趣味で安くそれなりのモノを創作しましょう」というポリシーを抱えているので、課金ルートに愚直に従うのも微妙だなぁと思いました。
結局国産テーマにいまいち馴染めなかった私は、英語圏のおしゃれなWordPressテーマを修正することで、映像学区新ブログを制作すればいいんじゃないかという結論に至ります。
「日本語サポートよりも自由度を優先したい。コードはある程度自分で書き直せばいい」
いろいろと悩んだ末に「Envato Market」というデジタルコンテンツ販売サイトを探し回り、汎用的に使えそうでデザインの良いWordPressテーマを買うことにしました。日本で見かけたテーマとは違い、価格も7000円程度。さらにブラックフライデーセールで5000円でした。なんと安いこと。
手順はもちろん英語でしたが、eizo-gak.comにWordPressテーマを認証させるのはすんなり行きました。ここからは頑張ってデザインをカスタマイズします。
まず苦労したのがフォントの設定です。
日本語の「游ゴシック」と「Noto Sans CJK」を使うことにします。しかしフォントを変えるだけではいいデザインに仕上がりません。プレビューを繰り返しながら、字間行間余白の設定を追い込んでいきます。スマホ表示時とPC表示時で理想のフォントサイズは異なるのですが、元のテーマではうまく調整できなかったので一から実装しました。もちろん誰も日本語向けサポートなんてしてくれないので、頑張ってWEBデザインについて調べます。
次に苦労したのがトップページ周りです。トップページでは、「Elementor」というプラグインを「固定ページ」上で走らせています。トップページに手をつけた当初は、何がどこで機能しているのかさっぱり分からずたいへんでした。
どう設定してもデモどおりにならなかったんです。サイトの要であるヘッダーが、なぜか変な動きをしたり2つ表示されたりして、本当に挫けそうになりました。とにかく管理画面のボタンをon/offしながら、トラブっている箇所を特定しつつデザインを改善していきます。そんな試行錯誤の繰り返しです。
色々試して分かったのは、購入した海外テーマでは「WordPressにもとから備わっているカスタマイズ機能」「テーマ独自のプラグイン」「Elementorプラグイン」という3つの土俵で、サイトデザインの設定が絡みあっているということです。
なんだかめんどくさい構造にも見えますが、ある意味では合理的な作りといえます。3つの土俵を組み合わせることで、私のようなWEBに無知な人間でも、デザインに奥行きがあるサイトを実現できるのです。とはいえ、もちろんメリットばかりではありません。まれに3つの土俵が干渉しあうことがあります。たとえば写真を拡大表示してくれる「Lightbox」という機能を実装した際にも、なぜか動かなかったり、逆に2回も拡大されたりして大層困りました。
つづいて苦労したのが(カテゴリ)記事一覧のページです。
テーマに付属してきた記事一覧のデザインが気に食わなかったので、トップページで学んだElementorと固定ページを使って「カテゴリ記事一覧ページ」を作りなおすことにしました。本来の記事一覧に飛ぶはずのURLから、作りなおした固定ページに無理やり飛ばす必要があるため、しかたなく「Redirection」という外部WordPressプラグインを導入しました。
ところが肝心のElementorに欠陥が見つかったんですよね。ページ送りをElementorでやろうとすると、どういうわけか次ページへ進んでも、ページ上部に戻ってくれないのです。このままでは記事一覧の閲覧性が最悪です。Elementorは有名なプラグインのはずなんですが、なんと有償版でもこの問題は修正されていないようです。
しかたなく、記事一覧だけは「Post Grid」という外部WordPressプラグインで組み立てることにしました。しかしこの外部プラグインでも、今度は「レスポンシブ表示がまともに表現できない」という問題がありました。
そこでしかたなく、「visibility」という外部プラグインを導入しました。「スマホ用の記事一覧ブロック」と「PC用の記事一覧ブロック」の2つを用意して、それぞれみなさんの環境によって、見せたり見せなかったりしています。
HTMLもCSSもPHPもなんにもできない私ですが、このような迷走を1年つづけて満足のいくデザインを手に入れました。万人にはおすすめできないですが、自分だけのWEBサイトを持つ喜びというのは、何物にも代えがたいものがありますね。
制作の経緯
Nゲージ・HOゲージといった鉄道模型をご存知でしょうか。近年は模型ファンにかぎらず、様々な方が自宅に飾るようになっていると聞きます。ふだん映像学区を支えてくれる方々の中にも、鉄道模型を嗜む人は多いようです。中には海外の鉄道模型に手を出す人や、模型の加工を専門とする人までいます。
同じく鉄道を題材にしたコンテンツに、子供でも扱えるよう設計された『プラレール』という玩具があります。しかし、鉄道模型とプラレールは似ているようで全く性質の異なるものです。
リアリティを追求する鉄道模型は細かな造形が多く繊細であるため、より丁寧な管理が求められます。また走行させるときの美しさを意識すると、プラレールのような「3両固定」というわけにはいかず、「10両で1セット」のような単位で管理したほうが都合がいいことが分かります。保管したり持ち運びしたりするには、大型のハードケースが必要です。
このため、模型車両がある程度揃ってくると、「車両ケース」と呼ばれる箱に模型を入れて保管します。各模型メーカーごとに、車両ケースのサイズはおおむね統一されており、6両用・7両用・12両用などのバリエーションを好みに応じて選ぶことができます。
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代表的な模型メーカー「TOMIX」の車両ケースを見てみましょう。車両ケースの中身を問わず、すべて同じ電気機関車の写真がプリントされています。ただ、せっかくなら模型の内容にあわせて、唯一無二のものにカスタマイズできたらいいなぁと思いますよね。
そこで、車両ケースに合うサイズのデザインをAdobe illustratorで独自に制作し印刷することで、世界に1つだけのオリジナル車両ケースを作ることにしました。有志制作ですが、一部をここに掲載したいと思います。
ギャラリー
個人による、保存もしくは印刷用途に限り、デザインをご利用いただくことが可能です。
※イラレに不慣れなこともあり微妙にずれ等ありますが、あまり気にしないでください(免責💦)。
映像学区の題材選びで大事にしているコンセプトがいくつかあります。その一つが「誰でもカンタンにできるカジュアルな動画づくり」というものです。今日はこの「カジュアル」という、取ってつけたような外来語について書いてみようと思います。
カジュアルをデジタル大辞泉で叩くと、「格式ばらず、くつろいでいるさま」とありました。主にファッションに使われるキーワードですが、これって映像やデザインにも積極的に取り入れていいと思うんです。創作全般、まずはくつろいだ状態から始めたほうが長続きします。
私のいうカジュアルには、「商業レベルのガチ勢にはおよばないけれど、それでもほどよく見栄えがあって楽しい創作」という文脈があります。したがって「カジュアル」の対極に位置するのが、「商業制作レベル」だということもできます。若干語弊はありますけどね。
映像にせよ小説にせよ音楽にせよ、芸術を突き詰めていけば、いつかは商業として扱われる範疇に到達します。最高のものやクリエイターに憧れる私たちは、ついついそういった商業制作レベルを最初からゴールにしがちです。それができるようにならなきゃ、と焦ります。そりゃまぁ、せっかくなら芸術で何かデカい依頼をもらいたいですし、せっかくなら最高の機材を買いたいものです。それ自体は悪いことではないです。
ただ、何も最初から全員が「プロ並みでなければ」という覚悟が必要なわけではないと思うんですよ。そんなに焦らないほうが精神衛生上いいです。最初はもっと趣味として楽しめる範囲の、軽めの、程よいレベルを目指すほうが気がラクだと思います。
カメラを手にしたところで、別に購入費用を回収しなくたっていい。スナップや動画を撮ったところで、それを自己満足で眺めるだけでも、あなたの創作は意味を成しています。現に写真旅シリーズは、うp主が後で眺める用に作っているので、半分道楽みたいなものです。自分が創作に求めている分だけ、ゆったり楽しめればOKなんです。
そもそも「程よい」という概念は、あらゆるジャンルの動画編集を救うと思います。カジュアルを重視するといろいろなメリットがあります。
ゆっくり映像学区を何年も投稿し続けていると、創作のジャンルを問わずいろいろなクリエイターさんのコメントに出会います。企画開始当初、私は「せいぜいAviUtlでアニメーションを作りたい初心者に届くのが精一杯だろう」と思っていたので、ちょっと想定外でした。
彼ら彼女らのコメントで学んだことがあります。それは、動画をあくまでコミュニケーションツールの1つとして勉強する人がたくさんいるということです。動画づくりそのものが趣味というよりは、何か別のジャンルのコンテンツを伝えるために動画を作りたいと。
どうやら皆さんから求められていたのは、必ずしも「すさまじい表現の作り方」だけとは限らなくて、「ラクにそれなりの動画を作るための基礎」だったようです。必ずしも全員に動画の最高峰が必要とは限らなくて、ほどほどにいいものを作れればそれでもOKなんです。
逆に初めからあんまり高みを目指しすぎると、いつまでも動画が完成しなかったり、予算がいつまでも付けられなかったり、デザインを無視したエフェクトが混じったりします。
コメントやDMでは、よく「カメラ選びを教えてほしい」という質問が飛んできます。初歩の質問も多いですが、「そのくらいの自分で調べなよ」などと一蹴することはまずありません。予算も目的も1人1人異なる趣味において、「ちょうどいい・程よいもの」を探す難しさが、よく分かるからです。
専攻が映像とはまったく関係ない学生でも手が出せるくらいの金額で、はじめての「ちょうどいい・程よいカメラ」を探すのって、結構難しいんですよね。相当な量のチュートリアルやレビュー動画を観てもなお悩むくらいだから、それこそ入門者にとっては本当に難しいはずです。
これがもし映像屋さんを目指している人であれば「三脚雲台はザハトラー。カメラはブラマジ派ならBMPCC系かursa系、キヤノン派だったらCinemaEOS、ソニー派ならFX3。あっ、サブ機とカムコーダーもお忘れなく......」みたいに、ある程度相場が決まっています。
これらのプロ御用達機材が値段的にお気楽でないのは言うまでもないことですが、同時に、旅行や普段実際に使う上でもお気楽でないケースがあります。色出しが綺麗にできるシネマカメラにはAFの効かないものが山ほどありますし、ゴツい見た目のリグを持ち歩いて旅行すると周りの目が気になります。これでは正直とてもカジュアルな撮影環境とは呼べないと思います。
もちろん、趣味に最高峰の環境なんて不要だ!と主張したいのではありません。どうしても必要に迫られたときには、むしろ「ほしぃ~🤤」という心の声に身を任せて、速やかにポチるべきです。例えば趣味で激しく動く被写体(飛行機・鉄道・モーターレース・鳥など)を追いかける人が、1DX・Z9・α1を選ぶというなら大いに納得がいきます。それでしか撮れない境地があるからです。
ただ、強迫観念だけで無理に「プロ並み」を目指すのはあまりおすすめしません。TwitterやInstagramでつよつよな作品を出してくるクリエイターばかりが見えてしまう世の中ですが、そんな時代だからこそ、1人くらいラクで程よい動画づくりを推奨するチャンネルがあってもいいじゃないか。そんな思いを込めた「カジュアル」です。
Q. 動画にOPを付けたら「長いので飛ばした」と言われました。
せっかく頑張って組んだOPがいまいち評価されない、ってなかなか悔しいことですよね。できれば回避したいものです。似たような経験は私にもあります。昔「OPが長い」と言われたことがあり、最近はわざと短く済ませているんです。
OPは各動画投稿者なりに出せる最高の表現技法を駆使することが多く、作っている側としては思い入れがあります。ただその分、ついつい凝りすぎたり尺をとりすぎたりしてしまうので、気を付けなければなりません。
まずは「なぜ動画にOPを添えるのか」という動機を整理してみましょう。きちんとした理由もない映像表現は過剰になってしまいますから。
OPには、動画シリーズの統一感を出すことができたり、冒頭に内容のダイジェストを挟めたりできる、というメリットがあります。あくまでダイジェストなので、YouTubeに出すような動画のボリューム感でいえば、OPの長さは最大10~20秒くらいが妥当ではないでしょうか。
とはいえ、20秒くらい延々と図形や画像だけで場を持たせるのは、ちょっと荷が重いのも事実です。そこで1つ、視聴者を飽きさせないためのヒントを紹介します。参考にするのは写真旅シリーズ「18-300mmレビュー」回です。
ここで取り入れたのが、語りをOPに詰め込む手法です。冒頭約1分20秒を使って、あいさつ・投稿の経緯・レンズの紹介・印象的な作例をテンポよく仕上げました。喋りが飛び交うことで、ある程度ゆっくりした動きの背景でも飽きにくくなると思います。特に動画をシリーズ化するなら、「動画によって1本1本違う文言+いつもの決め台詞」のナレーションにすると盛り上がりますよね。
NHKの『映像の世紀』や『新日本風土記』は、毎度この「OP語り」で雰囲気をブチ上げようとしているので、参考になるかと思います。これらはどちらかというと壮大な映像作品ですが、動画の雰囲気に限らず、この「語りで何とか場を持たせるテクニック」は使えると思います。
長いOPを作る、というよりは「イントロを作る」という気持ちでいたほうが、いいものができるかもしれません。
首都圏でも気温が10℃半ばを行ったりきたりするようになった。
この時期に街の公園をお散歩すると、暖色に染まる森の風景を楽しむことができる。17時の空気はひんやりと冷たい。少し厚着をして、56mmF1.2の単焦点レンズ1本でスナップ写真を撮った。夏の写真とはまた違い、色彩豊かなくせに、VelviaよりChromeの色味が似合う。
11月が始まった。
ハロウィーンを越えてしばらくすると、あっという間にイオンモールはブラックフライデー一色になるし、気がつけばクリスマス、そしてきっと慌ただしい師走の日常とともに2022年もお別れだ。
今年が終わるまでに、映像学区では何が残せるだろうか。見ているすべての人にどんなコトを伝えようか。現在進行系で原稿を執筆しているので楽しみにしていてほしい。
映像学区の写真旅シリーズの原稿には、しばしば「季節のひとときに」というフレーズが登場する。旅先で1枚1枚の映像から言葉を拾い上げるのは骨の折れる作業だが、「四季」の彩りは必ずどの1枚にも詰まっているのだ。「ボケ感」「色味」「露出」といったテクニックの説明とはまた違う、それぞれの空間の味が写真には残っている。
最後に制作したゆっくり写真旅は「銚子・犬吠」回だった。撮影した時期は、自転車を漕いでいるだけでクラクラするような真夏。動画を出さないうちにあっという間に肌寒くなったものだ。
読者のみなさんの中に「季節が変わる瞬間」がはっきり分かる人はいるだろうか。わたしはおうちの玄関をひとたび開ければ秒で分かる。しかも「あっ、今日から冬だ」みたいな、断言ができるくらいに。どの季節も1日単位ではっきりと認識できるのである。春夏秋冬それぞれ、空気の匂いや湿り気がまったく異なるからだ。
ここまで敏感に季節変化が認識ができる人は、実はそう多くないらしい。家族に「今日から冬だね」と伝えても怪訝な顔をされるし、季節の変化が共有できる人はなかなか身近にいない。
なんだか個性の自慢のようにも見えるが、この"敏感さ"は実は良いことばかりではない。季節変化に合わせて、もろに精神面に影響してしまうらしく、自分のパフォーマンスが乱高下するのだ。特に今のようなシーズンはよくない。思い出せば、秋に自分の成績がよくなったことなんて一度もないし、1年で一番不幸なことがたいてい秋に起きる。
冬に向かって、潤んだ空気はリセットされ、自然の息吹が減っていく。四季のリズムに引っ張られて、「郷愁・虚しさ・はかなさ」のようなコントラストの薄い感情が心の中に渦巻いてしまう。美しいはずなのに、ちょっぴりブルーでもある季節だ。
街の自然がだんだん色を失い、少しずつ空虚が広がっていく。眠りについてゆく。言語化するのは難しいけれど、写真旅の1枚1枚には、微細な空気から読み取る思いが隠れている。
2022年も後半に差し掛かったいま、映像学区を振り返る中で印象深いシリーズが「銀の世界の写真旅」、雪と文化をテーマに日本をめぐるドキュメンタリーです。制作にあたって、雑多に撮り集めた動画を、いかにして映像学区らしく編集するかが課題でした。
私は美しい動画編集が大好きですが、面倒な編集はあまり好きではありません。「美しくてラク」という、わがままともいえる願いを叶えたい映像学区は、1年間ほどの写真旅を研究することで様々な気づきを得ることができました。
今回は、Davinci Resolveの小技・初心者に知っておいてほしいことをまとめます。
国内海外問わず、近年の映像系YouTuberは小型ドローンやFPSドローンをよく使っています。ドローンの俯瞰ってカッコいいですよね。誰でも安定した品質の映像が撮れるので「すごい時代だなぁ」と思っています。
ドローンの技術は色々なカタチで映像制作にフィードバックされているので、目が離せないですよね。例えば中国のDJIという会社は「ドローンを作っていたら、カメラの手ぶれ補正が分かってきたので、電動スタビライザーまで作っちゃった」という歴史があります。映像学区でも「DJI RSC2」というジンバルをよく登場させています。
ここまでうp主がワクワクしている様子をみると、そろそろ「なんでそこまで気になっているのに、映像学区はドローンを使わないんだ?」と気になってくる頃でしょう。
その理由は「飛ばすうえでの制約がめんどくさい」という1点につきます。
日本の航空法を確認していただくと、それなりの規模の街中でMavic Airを"自由に"飛ばすには、結構無理な解釈をするしかないことが分かると思います。(ここで細かく解説しませんが、それくらい複雑なルールです。YouTuberさんやレビュアーさんも間違えていたり、法律スレッスレを行ったりすることがザラにあるので注意が必要です。)
さらに厄介なことに、ドローンルールは年々厳しくなっています。昔は「300gの機体重量制限をDJIが299gでクリアする」みたいな光景をよく見かけました。でもそういった"いたちごっこ"も時間の問題で終わると思います。持っているドローンが使えなくなるリスクは冒したくないです。
たしかに、日本では趣味でドローンを飛ばせないわけではありません。海岸、洋上、箱根・すすき草原、自分の土地など、ルールを守れば勝手に飛ばしても怒られない場所はいくつかあります。趣味で集まって会場を確保して、ドローンレースを開く人もいます。
しかし負担が大きいのです。カジュアルとは言えないのです。趣味や旅行でドローンを持ち歩くのは、まだ気が進みません。大多数の場所が何らかの法律や書面・口頭での許可を気にすることになって、いちいち面倒くさいからです。厳しい制約で撮影回数が減るのでは、コストパフォーマンスにも影響します。(予算カツカツなのが悪いといえばそれまでですが……)
映像学区は「誰でもできる、カジュアルでカンタンな動画づくり」を謳っているシリーズです。現状ドローンの制約があまりにキツいのを見ると「万人向けじゃないよね」と結論づけるほかないような気がします。
ドローン宅配のような技術が進展すれば、もう少しルールが緩くなる可能性はあるかもしれませんが、まだ道のりは遠いと言わざるを得ません。
映像学区だけじゃないらしい
以前紹介した"ドイツの映像制作おじさん"こと、「Fenchel & Jenish」チャンネルも、実はドローンを使わない主義なんだそうです。2019年に投稿されている「Filmmaking Q&A」という動画で、視聴者から「なんでドローン使わないの?(使えばいいのに)」という質問に答えています。
彼らはその理由として「特にドイツのフランクフルト(活動拠点)では、ドローンの制約や法律がとても厳しく、免許を持っていない個人が飛ばすのは不可能に近い」と指摘しています。どうしても必要な場合は、ドローン映像の専門家に頼るそうです。
これは日本の首都圏と似ている状況で、とても参考になるなぁと思いました。ジンバルにカメラを乗せるくらいなら全く許可も免許も必要ないですが、ドローンになると途端に面倒が多くなってしまいます。この「Fenchel & Jenish」チャンネルは、三脚や単焦点レンズといった、超ド基礎の映像制作を学べる面白いチャンネルなので、ぜひ覗いてみてください。Vloggerとはまた違った観点から勉強できると思います。
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わたしたちは日々、AviUtlやPremiereや撮影機材のチュートリアルを見て、動画の作り方を学んでいます。映像学区でも、良い雰囲気の動画を編集するためのテクニックをたくさん紹介してきました。しかしテクニックを勉強する以前の問題として、知っておかねばならない「2つのデザイン」があります。
デザイン(Design)の意味
「デザイン」という言葉をデジタル大辞泉でひくと次のように書いてあります。
「実用」とか「目的をもって」っていい言葉ですよね。
このように言葉本来の意味を理解すると、デザインとは「ただただ難しい・すごい表現ばかりを追い求める」というものではないことがわかります。動画のシチュエーションにあっていない編集を「良いデザイン」とはいえないのです。
「狭義のグラフィックデザイン」
これまで映像学区では「動画にはデザインが大事だ」と繰り返してきました。たとえばチュートリアルでは、フォントやサイズを変えたりするところから勉強しました。これらはすべて狭義のグラフィックデザインです。
それだけじゃありません。画角や機材の選び方とか、よいテロップとか、エフェクトとか、アニメーションとか、カラグレとか、YouTubeで観られる動画編集チュートリアルのほとんどは「狭義のグラフィックデザイン」にあたるでしょう。
広義の企画デザイン
しかし動画を作る上で学ぶ「デザイン」はそれだけでいいでしょうか?
答えはNoです。もう1つ「広義の企画デザイン」を忘れてはならないと思うんですよ。写真旅でもチュートリアルでもなんでもそうですが、企画の段階からすでにデザインは始まっています。
「広義の企画デザイン」で表現を取捨選択。→→「狭義のグラフィックデザイン」を詰める。
これが理想の流れですし、デザインのいい動画を作るために欠かせないことです。
冒頭に述べた通り、動画のデザインには目的・実用性を組み込む必要があります。
だから企画デザインの段階で「これを見てくれる人はこういうことを知りたい層で、だったらこれは必須で、逆にこれは省いたほうがいい。」という想像をしておきましょう。この“想像”を飛ばすと、意味もなく凝った編集をやらかす可能性があります。
たとえば、イージングみたいなテクニックは狭義のデザインです。しかしイージングどうこう以前に、そもそも「なんでアニメーションを使うのか」という目的があるべきです。この目的が明確なら、広義のデザインを達成しているといえます。逆に目的が不明瞭だと、過剰なイージングのおそれがあります。
いかにラクに、求められている映像を、デザインするか
みんなすごい編集をしたがる世の中ですが、逆張りして「どうすれば編集をサボれるか」と考えていきましょう。実用的なレベルの映像表現を考えるのも、立派なデザインといえます。何でもかんでも動かせばいいものではない。何でもかんでも高いカメラで撮ればいいものではない。何でもかんでもゴリゴリのエフェクトを入れればいいものではない。
例えば「テロップを入れるのが面倒くさいけれど、実際のところそのテロップ自体いらなかった」みたいなことは、結構ザラにある事例です。それで制作コストが高くなったり投稿頻度が落ちたりしても、誰も嬉しくないです。
2つのデザイン(広義の企画デザイン・狭義のグラフィックデザイン)を満たす動画が増えることを期待しています。
この原稿はもともと、ゆっくり映像学区の最終回がくることを想定して執筆していたものです。しかしみなさんからのご視聴・コメント・感想ツイートによって支えられている現状をみると、「しばらくは最終回なんて出せないだろう」と吹っ切れた気持ちになりました。せっかくの内容を何年も出し渋るのは良くないですから、思い切って動画化することにします。
今回のお話では、「広義の企画デザイン」「狭義のグラフィックデザイン」という2つのキーワードが登場します。過去の映像学区からの伏線回収ともいえる内容にしてありますので、ゆっくりとご覧いただければ幸いです。