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電動スタビライザー初心者が見落とす6つのコト

一眼レフ・ミラーレス一眼用の電動スタビライザーは、すっかり映像制作の定番となりました。

まるで重力を無視したようなジンバルの動きをみると、撮影していてちょっと感動します。一方で、どうしても初心者にはとっつきづらいポイントもあると感じます。今回は電動スタビライザー初心者が本当に気を付けるべきことをまとめます。


ジンバル選びでやらかす

はじめに書かなくてはならないのは、電動スタビライザー選びのミスです。各メーカーの製品も進化を重ねていますが、選び方を間違えてはどうしようもありません。

どれくらいのカメラとレンズに耐えられるかの指標として、ペイロードがあります。ただ、これはあまりあてにならない指標でもあります。ペイロード以下の総重量であっても、極端に長いレンズや横長のシネマカメラ(BMPCC4Kなど)はバランスが取れなかったり、バランスを取ろうとしてアームに干渉したりします。

皆さんがチェックすべきなのはペイロードではなく、「そのボディ+レンズの組み合わせがバランスを取れるのか」です。メジャーなボディとレンズであれば、メーカーの公式対応表を見てみましょう。でも対応表に乗っている組み合わせはわずかです。私の場合、マニアックなレンズを使うのであれば、YouTubeで個人が上げているテスト動画を探します。

似た寸法のレンズがテストされていれば、参考にしていいと思います。気を付けたいのは「ウェイト(おもり)をつけて乗らないこともない」みたいな例です。旅行先でのバランス調整が不便になるので、大型のジンバルを探すか、別のレンズを検討するかしたほうが良いと思います。

上向きのバランス調整を忘れる

「レンズを上にむけるバランス調整」を忘れるクリエイターは多いです。周りのクリエイターさんでも忘れてしまった例をたくさん見ました。偉そうにこの記事を書いている私も、はじめて「Zhiyun Weebill LAB」という電動スタビライザーを導入してから半年ほど、1か所バランス調整を忘れていました。困ったことにチュートリアル見ててもなぜか忘れるのです。

ここにバランス調整の手順を書いておきます。

①カメラの前後(カメラ底面のプレートを前後調整)

②レンズを上に向ける(グリップ側のアームを上下調整)←だいじ

③カメラの左右(プレートまたは液晶側のアームを左右調整)

④パン軸の調整

おおむねこれくらいやれば、バランスが取れます。

②を忘れても、モーターでカメラを持ちあげることはできます。ただし撮影中に突然脱力したり、ブルブル震えたりします。厄介なのは、初心者がこのバランス調整を忘れた挙げ句、「あれ?このカメラって載らないのかなぁ……」とか「故障?」なんて勘違いをしてしまうことです。私も昔、危うくジンバルを返品しかけました。皆さんはこの記事を読んだので、そういった恥ずかしい思いをせずに済みます。

オートチューンをしておきたい

バランスのほかにモーターパワーの出力で、ジンバルの挙動が変わります。ジンバルの走り出し・動き出しをなめらかにするためにも、オートチューンやマニュアル調整のしやすい電動スタビライザーを選びたいですね。

最近ではスマートフォンと電動スタビライザーを接続し、アプリで調節するものが多いです。撮影地でさっと取り扱えるのは、スタビライザーの液晶で直接設定できるタイプです。RONINやMOZAのように、豊富なラインナップをそろえているブランドでは、こういった細かい操作感で上位機種が差別化されているようです。大きさやパワーだけではないんですね。

広角レンズで使う

めっちゃ天気の悪い作例。パースが気持ちいい。

動画は16:9や21:9などのアスペクト比が主流であるため、初めから画面が狭いです。動きのあるジンバルショットでは、広角ズームレンズの使用もおすすめします。特に旅行では、レンズ交換をしなくても、視野いっぱいのあらゆるものを写すことができます。

そして広角ではブレが気になりにくいです。パースもよく効いているので、流れるようなダイナミックな映像が撮れます。私はFUJIFILM機ユーザーなのでXF 8-16mm F2.8を使ってみたいですが、高価なうえ、レンズが出っ張っていてNDフィルターがつけられないので二の足を踏んでいます。

カメラバックに入らない

初心者は威勢よく電動スタビライザーを買いますが、本当に大切なのはスタビライザーをどこまでも持ち運ぶことです。学生のみなさんは公共交通機関で移動することも多いので、特にかさばる手荷物は増やしたくないでしょう。YouTuberのレビューでは撮影中の持ち運びをレビューできても、撮影前のことは盲点になりがちです。

持ち運び対策の1つは、小さめのスタビライザーを選ぶことです。ミニマルな撮影装備で旅をしたいという方であれば、小型軽量なミラーレス+単焦点レンズでの運用もおすすめ。レンズ自体が軽いことで、電動スタビライザー自体も小さいものを選びやすいからです。軽いは正義。

例えばSONYのα6400にSIGMAの16mm、30mm、56mmの3兄弟レンズを付けるのであれば、Zhiyunの小型スタビライザー「Crane m3」でもラクにバランスが取れます。Crane m3くらいのサイズであれば、カメラバックの三脚取り付け位置にうまく収まるはずです。

私はこの持ち運びを考慮してDJIのRSC2を愛用しています。Zhiyun Weebill LAB以降の世代のミドルクラスのジンバルは、折りたたんで綺麗なA4サイズにまとまるようになったので、だいぶラクになりました。

もう1つの対策は、カメラバックを大きくすることです。Google検索で「カメラバック 電動スタビライザー」と検索してもなかなかいいバッグが見つからないのでもどかしいです。そこで、私が使用しているTARIONというメーカーのカメラバックを紹介します。

このバッグは片側に三脚を取り付けられるタイプのトラベル用フォトバッグです。横からカメラを取り出せる「サイドポケット」が付いていて、なんと折りたたんだDJI RSC2を差し込んで収納することができます。大きめのカメラバックですが、電動スタビライザーが収まるサイズとしてはギリギリです。カメラバッグ選びの参考にしてください。

筋トレの重要性

ジンバルを持っていくところまではうまくいっても、いざ現地で展開するとその重さにびっくりすると思います。1時間も持ち歩いていると疲労感がすごいです。この”重さ”は一般向けジンバルの親玉的な存在「Ronin-S」の発売当初から、様々なクリエイターを悩ませているようです。

ジンバルの重さといえば、2020年にVookへ掲載されたDJI公式Q&Aを思い出します。記事の中で「(Ronin-Sは)重くて疲れます」という質問に対し、DJIの方が「筋トレも大切です」とアドバイスしています。ジョークにも聞こえますが、冗談抜きで筋トレはジンバルワークによく効きます。

これは経験談です。筋トレは大事。

たしかに、ダンベルを持って「お願いマッスル」するのが続かない人もいるはずです。そんな皆さんには、Nintendoから発売されているSwitchのゲーム、『リングフィットアドベンチャー』のプレイをおすすめします。

シナリオ付きのアドベンチャーモードは待ち時間が長く億劫になってきます。せっかちな人は、リズムゲームを単体でこなすルーティンを2か月ほど続けてみてください。ジンバルを振り回したときの疲労感が変わりますし、ラクに片手持ちできるようになります。あれは凄かった。