1. 今週の読書 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』
本を読むことにした
職場の昼休み、娯楽もなく暇で仕方がないことに気が付きました。せっかく時間があるなら週に1冊ほど本を読もうというわけでよろしくお願いします。ちなみに私は新書とかビジネス書のようなジャンルを好みます。
初回は 「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」 。
まさにこの連載を始めるのにふさわしい本といえそうですね。もっとも、新入社員が初手でこんなタイトルを昼休みに持ち込むのはある種の舐めプだという自覚があります。幸い、周りの人間に見つかることなく読破しました。

★☆☆ [ 暇人が読む本 ]
内容は単なるHow Toに終始せず、労働と読書文化がどのような関係性で近世~現代の歴史を刻んできたか、非常に丁寧に解説されています。国語便覧を丁寧に文章に書き起こしたような著作であり、読んでいてマインドマップがつながるような感覚があります。
その反面、本書はタイトルの付け方に疑問符がつきます。「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」 というタイトルに対して、「こうすべき」 という答えはあとがきで数ページ触れる程度。本書の99%は労働と読書文化の歴史をひたすら語っているパートなのです。
「私は働いていると本が読めない」 という個々人の論理に対して、「社会が全身全霊で働きすぎている。半身でよい」 という社会論をもって帰結させた点は、批評家という立場の悪いところが全部出ている気がします。正論な割にどうにも共感しにくい。
もしかしたらこういう構成は故意でなされていて、 近年の 「ノイズが排除された」 ファスト教養を求めようとする読者に対する、筆者なりの皮肉なのかもしれませんが、そうであっとしても暇人以外には(それこそ忙しい社会人には)刺さらないと思います。
ただ、読書の歴史を書き記した文章として捉えるとまちがいなく傑作。
2. 今週の音楽 『曖昧♪モーメント - 栗林みな実』
ついこの前に花見したと思いきや、連日の昼間の蒸し暑さで体調がおかしくなりそうです。そろそろ太平洋の暖かい風を浴びたくなる季節なので、そういう爽やかマリンな雰囲気の曲をご紹介。
Bメロの締めからサビにわたって凄まじいコード進行を展開してきます。なんと栗林さん本人が作曲しているとのことです。アウトロのエレピやストリングス、ライブで聴いたら鳥肌立ちそう。