ギャグに逃げない・ギャグから逃げる

雪原てとら 雪原てとら
2026年8月1日

 

英語には funnyinteresting という形容詞がある。和訳ではどちらも 「おもしろい」 になるそうだが、両者の解釈方には明確な違いがある。funnyは滑稽なさま、つまりお笑い番組を観たときに思わず手を叩いて笑ってしまうようなおもしろさを指す。それに対し、interestingは 「興味深い」 だとか 「勉強になる」 といったふうに、知的好奇心をくすぐられるおもしろさをいう。

動画を作る時、視聴者にコンテンツを楽しんでもらえるように工夫を重ねる。動画にはたいてい何らかのストーリーがあって、出演者や代理のボイスロイドがナレーションをいれて説明する。効果音・立ち絵を交えた、畳みかけるように展開されるコミカルな演出テクニックにはいつも感心させられる。

おなじように動画を作ってみたい一方で、ギャグを作るのが苦手な点がずっと悩みだった。そのシーンでウケるであろうコメディを繰り出す能力がない。ギャグセンスがないことを自覚しているので、じゃあどうしよう。

結局こればかりはどうしようもないので、ギャグとかコメディの要素をなるべく排除した。つまらないノリで滑っても意味がないから。ただ、その代わりに 「静の雰囲気づくり」 というか、まるで読書しているかのようにスルスルと知識が入ってくるような場づくりにはかなり力を入れた。Artlist(有償の著作権クリア音源提供サービス)のBGM採用や、ゆっくりボイスの細かな音ハメはその一環である。

とても驚いたのは、そうやって生まれた、コミカル感やテンションの起伏に乏しいゆっくり動画であっても、弊チャンネルの視聴者は 「おもしろいです、なぜか観てしまう」 というようなコメントを残していくことだった。NHKの教育番組みたいだともよくいわれる。独特の心地よさがあるらしい。

ここで得られた知見とは、動画をYouTubeに投稿するにあたって、必ずしも funny=滑稽さ を追求する必要はなく、得意分野次第では、 interesting=知的なおもしろさ に全振りしたってかまわないということだ。どちらであっても、視聴者は適応して楽しむことができる。

また従来は、とにかく編集で派手に動かす、動かせる技術こそがクオリティの高い編集技術とされてきた (今でも間違いではない) 一方で、「動」 ではなく 「静」 をデザインできるスキルもまた、これからの時代、新しいおもしろさを提供するカギになるのではないかと考える。

四六時中、インターネットが手元にあり、なにかとドーパミンを刺激される世の中において、むしろそうやって静かに学びを得られる動画には一定のニーズがあるのかもしれない。


 

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