1. 「推し活が向いていない」 の正体
3連休の間、Discord通話で推し活について活発に議論した。
世間では “推し活” と称して、何らかのコンテンツを応援する目的でグッズを買ったり、大型ライブに参加したりする行動が当たり前のものとして定着している。しかし、自分のような人間には、どうもそういった推し活は向いていないことが分かってきた。
なんというか、規模の大きく完成されたコンテンツを推すことができないのである。これは大手のアーティストやコンテンツが嫌いという意味ではない。制作層もファン層も大所帯な集団からは、当然素晴らしい作品がたくさん生まれるが、そういったコンテンツを私はいち視聴者として 「美しく偉大な芸術作品」 としてみており、 「推し」 という存在よりもずっと遠い存在にすぎない。
対して、自分が真に 「推し」 として考える―― つまり本気で応援したいと思う対象には、ある傾向があると気づいた。それは、完成された体験を提供してくるコンテンツではなく、どこか不安定で発展途上で、視聴者の任意とか補完によって相互に成り立っているようなコンテンツである。
たとえば個人Vとか、今にも潰れそうな小規模なV事務所など、1年後活動を続けているかわからないような存在に対し、どういうわけか積極的に応援したいという気持ちが自然と湧いてくる。
当然そういったまだ発展途上な存在のほうが、何かとコメントを返してくれやすいという側面もあるため、応援に効率の良い見返りを求めているという意味で、私もZ世代特有の醜悪なタイパ・コスパ主義に毒されているのかもしれない。しかし与えられた創作に対する姿勢がそれでは、まるで格好がつかないのでなんとか否定せねばならない。
「推す」 という感情がどのように生まれるのかを掘り下げていくうちに、ある仮説が浮かび上がった。それは、コンテンツが 「楽しみ方をあらかじめ提示されているもの」 なのか、 「視聴者側の任意性が試されるような余地を持っているもの」 なのかによって、応援へのモチベーションが大きく変わるのではないかということだ。
私にとって推しではなく、芸術作品とカウントされるコンテンツとは、しばしば 「お出しされたコンテンツ」 であり、体験の仕方がある程度パッケージ化されている。ライブの演出、グッズ展開、SNSでの盛り上げ方まで、既に整備されたレールの上を走るような感覚がある。ファンはそのレールに乗ることで一体感を得るが、同時に 「自分がいなくても成立する」 感覚もある。FAを描ける絵師でもない限り、推し方に任意性を介在させることが難しい。
一方で、例えば、配信頻度も不安定で万人受けしないが素敵なものを持っている個人Vがいたとしよう。受動的にいるだけでは追いかけること自体が難しく、視聴側にはその時点で任意に発揮される技量のようなものが求められる。こういうケースのように、観る側にも任意の努力、ユーモア、教養等が求められるコンテンツでは、「この光るコンテンツに自分はついていってみよう」 という能動的な意識が強くはたらき、共創に近いものになる。
これは、どっちがいいとか悪いみたいな話をしたいわけではない。ただオタクというのは総じて飽き性なので、もしかしたらコンテンツ側も多少テキトーだったり抜けていたりするほうがかえって面白くて愛されるのかもしれない。
まとまりがない文章なので、Xに記事リンクは貼りません。
2. シネマカメラ戦争勃発
この9月、どういうわけかカメラメーカー各社がほぼ同じタイミングでシネマカメラを発表しました。Canonからは EOS C50、Nikonからは ZR が登場。どちらを買うか議論する人や、LUMIX S9のほうを見てなぜか敗北感を味わうLUMIXユーザーを多数観測しています。FUJIFILMも GFX ETERNA 55 というラージフォーマットの動画専用機を10月下旬より発売します。
同じシネマカメラという位置づけであっても、EOS C50とZRはターゲット層が異なってきそうです。どういう違いなのか言葉で説明するのは難しいのですが、両者の違いはSONYのカメラで定義することができると思います。C50はFX3に近い存在であるのに対し、ZRはZV-E1的な存在にみえます。
EOS C50は、明らかにFX3の対抗馬と言えるでしょう。FX3・FX30・FX2では絶妙に使いづらい位置にあるジョイスティックを、背面に持ってきたことは評価したいです。また映像の四隅が不自然に歪みやすい 「センサーシフト式手ぶれ補正」 をあえて省いたのは英断です。IS付きレンズの多いEOSだからこそできることでしょう。一方で価格は高く、おいそれと買える製品ではないのも事実です。
その点、Nikon ZRは29万円台で発売というので驚きました。
円安・原材料費高騰の影響か、フルサイズ機のエントリーモデルですら新品35万円を超えだしたこの時代に、フルサイズセンサーの動画機をよくぞこの価格で出したと思います。まぁそうは言ってもレンズを揃えたらに途方もないお金がかかるのは事実ですから、私はAPS-C(S35)の世界に引きこもるわけですが。
ZRはシネマカメラと名乗っていますけれども、ボディに汎用ネジ穴は無く、業務というよりは趣味に使ってねというアピールを感じます。そういう意味で、SONY Cinema Lineというよりは、SONY ZVシリーズを意識しているかのような雰囲気があります。
FUJIFILM GFX ETERNA 55について。箱型でシネマカメラらしい見た目はもちろん、もはや誰も話題にしてない点を含めて、一番業務機っぽい印象を受けます。SONYでいうならVeniceとかそういうレベルの対抗なんでしょうね。せっかくMKX 18-55mmT2.9という素晴らしいレンズがあるにも関わらず、なぜこういう業務機をFUJIFILMのXマウントで出さなかったのかは謎です。
3. 今週の音楽 『地獄タクシー - 吉澤嘉代子』
何の前触れもなくYouTubeのおすすめに流れてきて、とんでもなく巧みな歌声で私の耳を奪っていったアーティスト。もっと早く知りたかった。ライブの衣装が毎度素敵で、楽曲の不安定でミステリアスな世界観にぴったりだと思います。ずっと聴いていたいし、なんなら1日1回は口ずさみたくなるメロディーですが、カラオケで挑戦したら爆死しそう。