26時、厚手のコートで。
北海道の最北をめざすJR宗谷本線では冬のあいだ、宗谷ラッセル と呼ばれる除雪列車が走る。大学2年の冬、鉄道撮影が得意な友人に案内を頼み、FUJIFILM X-H1 と XF56mm F1.2 を使ってこの列車を追いかける写真旅を敢行した。
狙っていた宗谷ラッセルは旅客のいない深夜に走るダイヤのため、旅程がどうしても過酷になる。JR稚内駅前のドーミーインを午前2時にチェックアウトし、レンタカーで国道40号線を走った。
X-T3 ISO3200 24mm F4.0 1/40s
天塩中川駅で待ち合わせ
今夜メインの撮影地は稚内から100kmほど南に位置する天塩中川駅。無人駅だが冬場はラッセル目当ての撮り鉄が集結し賑わいをみせる。宗谷ラッセルはこの駅に一旦停車し点検作業が行われる。到着後、すぐにライトが消えてしまうため、手ぶれ補正のないAPS-Cセンサーのミラーレス一眼にはつらい時間が訪れる。
X-H1 ISO4000 56mm F2.5 1/640s
X-H1 ISO2000 56mm F1.8 1/80s
・・・というのはLightroomで整えた虚構の明るさであって、実際には下の写真のような暗く冷たい世界が広がっている。厳しい寒さは頭痛がしてくる程だ。駅前にはいちおう市街地もあるがこんな夜遅くに灯りの点いている建物はない。
X-H1 ISO2000 56mm F1.6 1/80s
構図に厳しい鉄道写真の中で、ラッセルはかなり自由な撮り方が許されている類いの被写体だと思う。換算85mmの単焦点レンズでスナップ的な切り抜き方を探る。人や三脚が映り込んだってかまわない。吹雪の中なら何もかもがエモい。
南稚内駅の跨線橋から
JR稚内駅は単線構造なので、ラッセル列車の日常的な整備は1駅先にある南稚内駅構内で行われている。早朝、徐々に青くなり始めた空の下、厳つい除雪列車もここではエンジンを切って静かに燃料を給油していた。
X-H1 ISO800 56mm F1.2 1/500s
X-H1 ISO250 56mm F1.2 1/320s
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JR宗谷線には、今回紹介した以外にもトンネル・カーブ・俯瞰のできる撮影地が豊富にあります。深夜のアイスバーンの運転は危険を伴いますので撮影の際は十分安全を確保してください。気象条件により列車の運転がない場合があります。
『JR宗谷本線を除雪するラッセル列車』 (映像学区)