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雨の日本橋は、超広角スナップ向き|FUJIFILM X-T3 + XF10-24MM F4

東京の玄関口を飾る、クラシックとモダン

旅の出発点といえば、今も昔も間違いなくココ。東京の日本橋は江戸時代に街道の起点となって以来、多くの人の旅の出発点である。そのポジションは今も変わらない。わたしたちが「写真と旅」をテーマに動画をはじめるならばここがスタートにふさわしい。

梅雨明けの蒸し暑い11時、ドン曇りの日本橋でカメラを構える。

どこにレンズを向けても歴史と風格を感じる画になるのでよろしい。通りに面するクラシックな建築、上を見上げるとそれに乗っかる形で空に伸びる高層ビル群。東京2020大会の旗が揺れているのもお忘れなく。目と鼻の先の東京駅、それを超えた先には皇居・江戸城が待ち構えている。

タクシーは大都市それぞれの立派なシンボルになると思っている。ニューヨークでは黄色いNV200、ロンドンは丸っこいキャブが迎える。ここ東京ではオリンピック開催に合わせて「JPN TAXI」というスタイルが広まった。東京のタクシーは狭苦しい高級住宅街を潜り抜けても、大都会を駆け抜けてもいい画になる。

無機質な曇り空の下、ピカピカの車体を輝かせながら通過していく。

大型の高速バスが東京駅のほうへ行ったり来たりするのを見ると、あらためてターミナルっぽさを意識する。ここから首都高に乗れば、日本全国どこへだって一直線に向かうことができる。

ビジネスオフィスが並ぶ区画を歩く。ちょうど平日の正午近かったこともあって、首からIDカードをぶら下げた会社員のみなさんとよくすれ違った。六本木やみなとみらいでも見られる都会らしい光景のひとつ。思い思いにチョイスした飲食店に吸い込まれていく。

私も「そろそろお昼に」とカメラをしまっていたところ、雨がパラパラと降ってきた。すぐに「パラパラ」どころではなくゲリラ豪雨になったので雨宿り。三越向かいのスタバは混雑していたので、ひとまず日本橋の首都高速下に逃げ込む。

土砂降りの雨は写真にとってありがたい。独特の粒子感と霞みを楽しむことができるからだ。降るならぜひ中途半端な雨ではなく、ガッツリお願いしたい。

首都高の下だけにいるだけでも様々なストーリーに出会うことができる。いま日本橋に覆いかぶさっている首都高速都心環状線の高架は将来地下化されるそうだ。日本橋に青空をよみがえらせる、そんな壮大なプロジェクトの予定期間は約40年。青空の日本橋を観たい気持ちもあるが、きっと40年後には「高架も戦後らしくてよかったわね」と懐かしくなるに違いない。

雨上がりを這う

雨上がりのストリートスナップで忘れちゃいけない表現テクニックが「リフレクション・ショット」だ。揺らぎの収まった水たまりは、街並みを幻想的に反射してくれる。ヘッドライトやお店の光源があるとうれしい。

潤いのある金属・植木はとってもきれい。

XF10-24mmF4 R OISで撮影

撮影で主に使用したのは、FUJIFILMのミラーレス一眼「X-T3 + XF10-24mmF4」のコンビだ。XF10-24mmF4はフルサイズ換算15-36mmの汎用広角ズームレンズ。迫力あるスナップショットのほかに、電動スタビライザーを使った動画撮影にもマッチするレンズである。旅には必携の1本。

広角レンズをスナップで使うときはロケ地を注意深く選ばなくてはならない。つまらないベッドタウンで使うとテーマのない散漫な作品になることもあるし、電線や裏山が映り込んでしまうこともある。そういった中途半端な景色ではない、画角が活きるシチュエーションで使いたい。

日本橋では「半端」になる心配がない。あらゆる電柱は地中化され、舞台のように広い歩道がつづく。一方で、角を1つ曲がれば高層建築に囲まれた窮屈な路地に入る。超広角が得意とする”極端なシチュエーション”であふれているのだ。