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厳冬のJR旭川駅|写真旅へといざなう玄関口

真っ白の世界をファインダー越しに眺める。そんな撮影をかなえるために、2022年冬の北海道写真旅を計画した。4人で巡る弾丸旅程を組んだが、初日はあえて、1人でレンタカーを借りて旭川市内を散策した。川沿いに並ぶ現代的でヨーロピアンな街並みは私の期待を超えていたし、実に満足のいく一眼映像をゲットできた。詳しくはまた別の記事でお話ししよう。

その晩、同行するクリエイター仲間を待ち合わせるまで少し時間が余ったのでJR旭川駅を訪れた。

銀の世界の写真旅Ⅱに登場した風景は、除雪列車・廃線・峠越えなど、いずれも鉄道に関わるものばかりだ。”鉄道”という1つのテーマを考えると「ターミナル駅の雪夜」でスナップフォトをするのは自然な流れだった。

※コメントでご要望をいただきましたので、本記事ではEXIFデータを載せています。


JR旭川駅の厳かな現代建築

JR函館本線の電化区間は、小樽から札幌・岩見沢を経由して旭川周辺まで。ここが日本の”電車”で到達できる最北地点のひとつといえる。これより先へいくと、まもなくディーゼルカーしか走れない区間に入る。

旭川駅はまた、遥か南からやってきたJRの線路が最後に通る、立派なターミナル駅ともいえる。ここから各路線とも、町こそ経由するけれど、結局は人口希薄地帯の峠に突っ込んでいくあたり共通している。

FUJIFILM X-T3 XF10-24mm F4.0 1/125s ISO4000

凍てつく気候環境に耐えながら目的地へゆく列車の姿は、本当に勇ましく感じる。こんなことを言うと怒られそうだが、旭川は最後のオアシスというか前線基地というか、なんだかそんなシナリオが思い浮かんで勝手に刺さってしまった。すべて夜空と建築と車両の織り成すムードが完璧すぎるせいだ。

FUJIFILM X-T3 XF10-24mm F4.0 1/100s ISO3200
FUJIFILM X-T3 XF10-24mm F4.5 1/60s ISO2000

最終の特急列車を送り出すターミナル

1898年の開業以来、姿を変えながら旭川市内の代表的な建築でありつづけている駅。現在の駅舎は2010年に全面開業した4代目のものである。そのコンコースには北海道産の木材が使われていて格式高い。

暖房のために仕切られたエスカレーターを上り下りしてみる。ここはジャズみたいな音楽まで流れていて温もりを感じた。対照的にプラットホームには北海道の冷たい空気が流れる。

FUJIFILM X-T3 XF10-24mm F4.0 1/250s ISO2000
FUJIFILM X-T3 XF10-24mm F4.0 1/250s ISO2000
FUJIFILM X-H1 XF56mm F1.6 1/500s ISO640

旭川始発札幌方面の特急。清掃整備を終えた車両が、まばらにやってくる乗客を迎える。およそ10年前に(まだ私は小学生だった)津軽海峡線で乗ったことのある車両だ。青函トンネルが新幹線に受け継がれた今、こんなところで走っているのかと懐かしい気持ちになった。10年ぶりの北海道。現地で見る感動は大きい。

FUJIFILM X-H1 XF56mm F4.0 1/60s ISO2500
FUJIFILM X-H1 XF56mm F1.2 1/160s ISO800

L:X-H1 XF56mm F1.4 1/800s ISO800 | R:X-H1 XF56mm F1.2 1/160s ISO500

稚内方面の特急列車「宗谷」がやってきた。そこにいてくれるだけで香ばしい匂いのするディーゼル特急。こんなにモダンな駅にたたずむ光景には、まるでアニメのように”人の手によって作られたカッコよさ”があってよろしい。

芸術的な構造物だらけでちょっとミライっぽい、でも人の気配は少ない。そんな空間にこそ「アニメのような」という掛言葉を使いたい。(※ポエムを書くことでハイビームの失敗写真をごまかす)

FUJIFILM X-H1 XF56mm F4.0 1/80s ISO2500
FUJIFILM X-H1 XF56mm F1.2 1/320s ISO800
FUJIFILM X-H1 XF56mm F1.2 1/400s ISO2500

普通列車が折り返していく。

特急が何本か出ていくと、あたりが静まり返る。

続いてやってくるのは当駅止まりの回送たち。動画のコメントで気づいたことだが、旭川にはめったにやってこないタイプの普通電車が写っていた。7番線でいったん足を止めて再び車庫まで出発していった。

FUJIFILM X-T3 XF10-24mm F4.0 1/160s ISO2000

私は鉄道編成写真に関してはさっぱり(明らかに経験不足)なので、動画内では「まともな鉄道写真を撮っていない」と表現した。この駅はスナップ映えするのでごまかせるけれど、やっぱり王道の構図をちゃんと撮れるようにはしたい。そうでないと将来振り返ったときにいろいろ後悔しそう。

今回はLightroomを使って、スチームパンクなレタッチを取り入れた。こんな奇をてらった表現を当たり前に(無理やり感がなく)できる鉄道駅は旭川くらいだと思う。YouTubeやブログに写真をうpするなら、多少のノイズは無視しても精細度を上げれば見栄えがするので問題ない。せいぜい800万画素の画像なのだから。

FUJIFILM X-H1 XF56mm F1.2 1/320s ISO1600
FUJIFILM X-H1 XF56mm F1.2 1/160s ISO500
FUJIFILM X-H1 XF56mm F1.4 1/250s ISO1000

最後に使用機材を紹介する。JR旭川駅では、FUJIFILM X-T3 X-H1 に2本のレンズを付けて撮影した。1本はいつもおなじみの「XF 10-24mm F4」で広角をカバーした。ダイナミックな建築は超広角の出番である。もう1本は「XF 56mm F1.2」という中望遠単焦点レンズ。一瞬のストーリーを切り取るのに役立つ。

APS-Cセンサーを搭載したFUJIFILM機では、ISO(明るさ)の厳しい場面が当然出てくる。しかし厳冬の闇夜へ立ち向かう列車を撮るなら、少しくらいノイジーでもそれはそれで味が合っていい。ほら、せいぜい800万画素だし……。

L:X-H1 XF56mm F4.0 1/60s ISO2500|R:美瑛にてXF56mm

FUJIFILM X-H1 XF56mm F1.6 1/400s ISO1600

お読みいただきありがとうございました。Twitter共有ボタンから、記事の感想をつぶやいていただくと嬉しいです。うp主はとっても喜びますし参考になります。次回の映像学区もお楽しみに。