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厳冬と色彩の宗谷を目指して|Classic ChromeとVelviaで撮るオホーツクの風景

銀の世界の写真旅Ⅱ

道央道・国道40号線を北上する。

厳冬の北海道を旅する写真旅。2日目は旭川市内から国道をひた走り、最北の地「宗谷岬」をめざします。北海道の霞んだ冬空が印象的な朝です。途中の旭川~士別までと、名寄~美深までの区間は高速道路を使います。

雪は綺麗に道路わきに追いやられており、走りやすい1日でした。

道路の上に、見慣れない矢印の標識が登場します。

これは雪による視界不良のときに、路肩の場所をおしえてくれるサインです。その一部は夜間に誘導灯としても機能します。かなり整備されている道路とはいえ、雪や急な気象の変化は道外からの観光ドライバーを苦しめます。

開けた土地では、山からの風が止まることなく吹き荒れます。そのため道路には、地吹雪を抑えるための「防雪柵」や「防雪林」が並んでいます。幸い今日は快晴で、お世話にならずに済みそうです。

冬場は景観を妨げてしまう防雪柵ですが、夏シーズン中はカンタンに分解できるような構造になっているそうです。

国道の脇を走るJR宗谷本線の列車を撮るために、美深の踏切に立ち寄りました。お目当ては昼間に運行される除雪列車「宗谷ラッセル(通称)」です。長い宗谷本線を南北2区間に分けて、除雪列車が運行されています。

しかしあまりにも天気がいいため、ついにラッセルがやってくることはありませんでした。

撮影準備の風景です。雪壁のせいでなんだか乱入撮影みたいに見えますが、線路からは距離をおいています。右から2番目が私の機材。X-T3 + XF100-400mm。

いわゆる”撮り鉄カー”に同乗したのは久しぶりですが、やはり荷物が多いなぁと思いました。これでも必要最低限をトランクに積んでいるのですから驚きです。大きな脚立と三脚が目を惹きます。

しばらく走ると、音威子府村に到着しました。「音威子府そば」という黒い蕎麦が有名です。

北海道を代表するコンビニ「セイコーマート」で一休み。

セイコーマートの食の充実っぷりは、事前に聞いていたとおりでした。個人的には味はもちろん、コストパフォーマンスのほうに感動しています。スパゲッティ・お弁当・総菜の種類が豊富で、他のコンビニより少しコンパクトなんです。値段が1品¥200くらいなので、軽食をとりたいときに重宝しました。ボリュームの調節が自由自在です。

商品ラインナップもさることながら、その出店規模もすさまじい。音威子府村のような人口減少に悩む地域であっても、躊躇なく出店してくれています。旅行者はぜひ立ち寄るべきコンビニです。

音威子府村からオホーツク海へ

かつての音威子府駅からは、今ある「JR宗谷本線」のほかに「JR天北線」という鉄道路線が分岐していました。宗谷本線が山の中を稚内方面まで超えていくのに対し、天北線は東のオホーツク海に沿って走り稚内へ向かいます。

ここからは国道を乗り換えて、かつての天北線沿線をめぐります。

さきほどからすれ違う車が減ってきています。そして道路を歩いている人もほとんど見かけません。代わりにシカが歩いていました。夜に出会いたくない動物たちです。

乾燥した雪原が広がります。おそらく夏シーズンのみ姿を現す「林道」「4桁道道」などが、どこかに隠れているはずです。このあたりを少し入ると未舗装道路などがいくつかあって奥深いです。

一面の銀世界から顔をだす植物があると、思わずカメラを向けてしまいます。

地域を結ぶ路線バスとすれ違いました。

鉄道が廃線となった後に走るバスも、本数はそこまで多くはありません。

風力発電機と、沿岸の漁港。

オホーツク海が見えてきました。ちょうど日が傾く時間です。

FUJIFILMのカメラに搭載されたフィルムシミュレーションについて、冬場は「クラシッククローム」を使っていましたが、一瞬だけ「Velvia」に切り替えます。彩度が一気に上がります。

国道沿いに並ぶ風車たち。

場所にもよりますが、北海道の沿岸部は本当に風が強いです。「おもりをつけているはずのバス停が吹っ飛ばされる」みたいなエピソードを聞いたことがあります。

猿払(さるふつ)を通過。東西冷戦時代の名残で、この辺りには自衛隊の駐屯地が点在しています。崖を見上げると動物の姿が見えました。


宗谷丘陵を向こうに。

風景があまりにも素晴らしいので車をいったん停めました。宗谷の魅力は「岬」と「丘陵」です。風車だけが並ぶ光景は、道北の象徴と言ってもイイでしょう。

一面みどり色に染まった夏の宗谷は魅力的ですが、人を寄せ付けない雰囲気のある冬の丘陵も、遠くから眺める価値があります。私たちはここで何枚も写真を撮りました。

静かに夕日が落ちていきます。次回へ続く。