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怒りや不満は、創作のエネルギーになるらしい

2022年の終わりが近づくにつれ、映像学区もすっかり息の長いシリーズになったなぁと実感します。公開できた原稿も、公開できなかった原稿も、これまで本当にたくさんの文章を(ゆっくりボイスを介して)書いてきました。最近、動画のアイデアが浮かぶタイミングについて、気づいたことがあります。

新しいアイデアを思いつく時は、たいてい現状にキレているなぁということです。

動画編集を取り巻く教材の物足りなさに怒りをおぼえた時には、自分でも驚くほどインスピレーションが湧きます。映像学区のあらゆるチュートリアル動画の裏には、「なんでこんな大事なことを誰も言ってくれないんだ」というブチ切れが発生しているのです。内に秘めてこそいますが、頭の中をヘイトで一杯にして執筆することも珍しくありません。

AviUtlに関する動画を作り始めたキッカケもそうでした。映像学区は、AviUtlのチュートリアルを積み上げてきたすべての先人たちを尊敬しています。彼らがいなければ私は動画を作れなかったでしょう。しかしリスペクトと同時に「まだ初心者に最適な集合知は達成されていないなぁ」という不満がありました。

こういった不満が、私の創作のすべての原動力となっています。動機としてはだいぶネガティブなので、良いとはいえないかもしれません。しかし、歴史上よい創作を生み出してきたのは「怒り・不満」だったように思います。

1400年代、イタリアで巻き起こったルネッサンス*を例に挙げましょう。

ヨーロッパ史においてはローマ帝国が衰退して以降、およそ1000年のものあいだ、文化・記録・経済・人口増加が停滞した時代がありました。この期間は「暗黒時代」とも呼ばれています。それまで自由で豊かに発展してきたはずのギリシア・古代ローマの文化が、キリスト教の教会統治によって消し飛んでしまったんですね。まぁ、教義と関係ない「自由気ままな芸術」を頑張ったところで、異端者として叩かれるだけですからどうしようもありません。

とっても長い年月が経って、教会統治が終わりを迎えた頃。こらえてきた色んな意欲を「爆発させてもいいんじゃね?」と思った人たちによって、徐々に「自由気ままな芸術」が復活していきました。これがルネッサンスです。怒涛の勢いで神絵師が登場したり、えっちな小説が書かれたり、勇ましい石像が作られたりしました。すごいことです。

不満をもとにした芸術は、現代でもたくさん見られるのではないでしょうか。

たとえばコミックマーケットに出展される同人誌はいい例です。独特の路線を行くニッチな作品が山ほどあります。作家さんが表明するかどうかは別として、そういった同人作品の根底には、「どうしてこの組み合わせを誰もやらないんだ」だったり、「どうして自分の理想のシチュエーションがないんだ」という不満があるように思います。不満による原動力がなかったら、濃い創作を継続できない人だっているはずです。

やっぱり怒りは良い作品を生み出すようです。ただしそれがヘイトスピーチになってはまずいので、ほどほどに感情をコントロールしつつ、みなさんに「助かる」と言われるような原稿を書いていきたいところです。


*センター試験は「日本史&地理」で受けた人間なので、間違った知識書いてたらすみません。