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自宅のネット回線が2200Mbps出るというお話

“自宅のインターネットが5G回線に対応した。ついでにPCの端子も5G対応にしておいた”

家族から突然そう聞かされたので、試しにスピードテストしてみて驚いた。上下ともに2200Mbps近い値が出ている。これをやや自慢げにツイートしたところ、思いのほかバズって「逸般家庭だ」とか「誤家庭だ」といった褒め言葉がついた。

家庭で2200Mbpsという数字は、快適を通り越して「おかしい」の域といえる。どんなに高くても100Mbpsもあれば、Web閲覧からFPSゲームまで困ることはないからだ。何を目的に通常の22倍もの回線速度を使うのか疑問になってくる。

どうしてこんなオーバーなスペックが生まれたのか経緯を説明したい。別に私自身は光回線に重課金しているわけでも、速度マニアでもない。ただ家族の中にネットワーク周りが詳しい人物がおり、しばしば自宅ではハイスペックな環境を使った色々な実験が行われているのである。今回の5G開通もその一環だろう。

そもそもネット周りに限らず、我が家には一般的ではない光景が広がっている。

本棚の上には「ラズベリーパイ」という、交通系ICカードくらいのサイズのコンピューターがずらりと列を成していろいろな実験をしている。各部屋でもラズパイが気温と気圧*を測定し、データを記録し続けている。家からWi-FiのIDが5個出ていたこともあるし、AIがラズパイのカメラを使ってリビングのモノを画像認識していたこともある。現在の映像制作で使っているグラフィックボードは、もともと仮想通貨のマイニングに従事していた。

*トンガ火山噴火の際には、衝撃波による気圧変化が鮮明に記録されていた。

「5G回線になってなにか良いことがあったのか」と尋ねられたら、正直今は答えに困ってしまう。YouTubeで8K60p動画をやり取りしようにもマシンスペックが追い付いていないし、サーバー運営をしようにも面白い企画がなかなか浮かばない。

もちろん5Gのメリットが全くないわけじゃない。例えば、映像制作をチームで進めているときには数百GBにおよぶ膨大なファイルをやり取りするが、これまでよりダウンロードが速くなっている気がする(もちろんファイル共有サービス側の速度に左右される)。迅速に作業に取り掛かれてハッピーになれる。

ただまぁ少なくとも今はまだ、5Gによって大きな変化を肌で感じる機会はない。

たぶん、今すぐに目的を見出そうと焦る必要はないんだと思う。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、8K・12K(写真並みの解像度をもつ動画)が将来発展したら、きっと5Gは当たり前になっているはず。むしろ当たり前になっていないとおかしい。現在のVRの解像度はせいぜい4Kくらいなので、「もっとリアルなVRChatが楽しめるようになる」と思うとワクワクする。まだ社会は5G回線を使いきれていないだけだ。